このページでは、長く愛され続けているロングセラー商品のパッケージデザインに注目。パッケージデザインの歴史をはじめ、パッケージデザインに込められた想いやこだわりなどを紹介します。

画像引用元:Pocky公式HP(https://www.pocky.jp/products/index.html)
1966年に江崎グリコから「世界で初めての棒状チョコレート菓子」として発売されたポッキー。お菓子売り場で目を引くインパクトの強い赤色のパッケージは、1998年のパッケージデザインのリニューアルで生まれ、現在まで受け継がれています。
1966年に発売開始された当時のポッキーは私たちのよく知るパッケージとはまったく違う、横型の白箱でした。1976年のリニューアル時に現在の縦型へと転換。縦長のパッケージに変更になった理由は、コンビニやスーパーマーケットの普及に伴い、店頭の棚にポッキーをきれいに陳列しやすいようにするため。また、現在まで続く赤が印象的なパッケージに変わったのは、さまざまな種類のポッキーシリーズのなかにあっても埋もれない目立つデザインにしたかった、という狙いがあったそうです。
実際にグリコのコーポレートカラーでもある赤を使ったパッケージは、色とりどりのお菓子売り場のなかでも目を引くため、グリコの狙いは成功したと言えるでしょう。また、パッケージに使われているポッキーの写真はグラスに盛り付けたときをイメージしており、意匠登録されています。

画像引用元:味の素公式HP(https://www.ajinomoto.co.jp/aji/)
1909年に世界で初のうまみ調味料として製品化され、100年以上も愛され続けている味の素®。
時代に合わせて容器が変遷しており、発売当初の容器は薬品用のガラス瓶を使用していました。その後も何度もリニューアルが行なわれ、現在の食卓瓶として発売されるようになったのは1951年頃です。それまでの味の素®は容器から耳かき大のスプーンを取り出して使用していましたが、瓶から直接振りかける様式に変更。調理場でも簡単に使用できるようになったことで、味の素®の使用習慣の一変に貢献しています。
赤いパンダを使ったパッケージにリニューアルされたのは2005年。「もっと多くの人に味の素に興味を持ってもらいたい」と2004年にイメージキャラクターを使ったキャンペーンを打ち出し、味の素®の瓶の形から着想を受けたアジパンダ®が誕生。パッケージリニューアルから生まれたアジパンダ®は着々と人気を集めていき、2015年に味の素社のコーポレートキャラクターになっています。
味の素®は食卓瓶のほかにプラスチックのパッケージでも展開されており、この先100年も愛され続けるブランドになるために環境に配慮した紙のパッケージも登場しています。

画像引用元:アサヒ飲料公式HP(https://www.asahiinryo.co.jp/index.psp.html)
1919年に発売された当初は、現在のパッケージとは異なる化粧箱入りの茶色のガラス瓶だったカルピス。
現在の水玉模様のデザインにリニューアルされたのは1922年です。化粧箱の代わりに水玉模様の包装紙で瓶をまくスタイルに変更になりました。カルピスの水玉模様は発売日が1919年7月7日の七夕なのが由来で、天の川の銀河の流星をイメージしています。水玉の配置にもこだわりがあり、「夜空の星は自然のものだからランダムに、密度はほぼ一定に」というルールは今も受け継がれています。
その後も何度かリニューアルが行なわれ、1953年に包装紙が白地に青の水玉模様に、1995年には瓶から紙容器に、2012年にプラスチックに変更。プラスチック容器は約2年かけて開発され、4種構造によって光と酸素をブロックする仕様になっています。また、ひねりのある独特な形状は包装紙で巻いたパッケージのイメージを再現したものです。
また、2020年7月14日に販売されたカルピスウォーターの夏季限定パッケージのデザインがSNS上で話題になったことがあります。カルピスを飲みきると正面のイラストの透明な部分に裏面のイラストが重なり合い、新しい絵が完成するという仕掛け。高校生の放課後のシーンを描いたストーリー性のあるイラストが青春を感じるとして話題を集めました。

画像引用元:ロッテ公式HP(https://www.lotte.co.jp/products/brand/toppo/)
1994年にロッテから発売されたトッポ。パッケージにも書かれている「最後までチョコたっぷり」というコンセプトは、顧客からの「最後までチョコレートを食べたい」「手を汚したくない」という声から生まれました。
白い背景に斜めのTOPPOロゴが入ったデザインは、発売当時から変わっていません。現在のパッケージには「最後までチョコたっぷり」というトッポの強みを打ち出しているほか、トッポにチョコを流し込む様子を描き、チョコ感が増したデザインにリニューアルされてます。
トッポのパッケージはデザインだけでなく、機能性にもこだわっているのが特徴です。ジッパーの端がつまみやすくなっているほか、底面に3つのでっぱりをつけ、縦のまま立てられる仕様になっています。また、折り畳みやすくなっており、食べるときも捨てるときも場所を取りません。ユーザーにストレスを与えない工夫が経験価値を生み、リピーターの創出につながります。

画像引用元:宝酒造公式HP(https://www.takarashuzo.co.jp/products/soft_alcohol/regular/)
1984年に日本で最初の缶入りチューハイとして発売され、缶チューハイブームの火付け役となったタカラcanチューハイ。
タカラcanチューハイのパッケージデザインは、1984年の発売当時から一貫して松永真氏が制作に携わっています。タカラcanチューハイは若年層をメインターゲットに開発された商品で、パッケージデザインの「can CHU-HI」というアルファベット表記もメインターゲットを意識したものです。
日本発の缶入りチューハイということで、容器には既存の商品にはなかった無地のアルミ缶を採用。独特の光沢があるシルバーメタルに英字のタイポグラフィーを重ねたデザインは、シンプルながら斬新で、発売当時は強烈なインパクトを与えました。
タカラcanチューハイのパッケージデザインは1987年に毎日デザイン賞1987において「毎日デザイン賞」、発売から約30年経った2013年にはグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞し、高い評価を得ています。発売当時よりずっと多くの缶チューハイが登場した今でも、タカラcanチューハイのアルミの美しさを最大限に生かしたパッケージは独特の存在感を放っています。
ここまで紹介してきたロングセラー商品のデザインパッケージは、いずれも時代に合わせてリニューアルを重ねています。ロングセラー商品として業界での地位を確立している商品でも、愛され続けるための企業努力としてデザインパッケージのリニューアルに取り組んでいることから、デザインパッケージの重要性が分かるのではないでしょうか。
また、リニューアルを重ねながらも商品のブランドイメージや価値を損ねないのは、商品・デザインに対して明確なコンセプトやこだわりがあるからとも言えます。たとえばカルピスの夏季限定パッケージのデザインは遊び心のある仕掛けを施しながらも、カルピスの甘酸っぱさが10代の青春とマッチしており、カルピスのブランドイメージの再認識と向上につながるものでした。
ロングセラー商品のパッケージデザインにはユーザーに選ばれるヒントが多く詰まっているため、何がユーザーを引き付けているのかを研究することで自社の商品のブランディング戦略を立てる際の参考になります。
なぜ「いい商品」ほど、選ばれなくなるのか?
原材料にも製法にも妥協はない。作り手の思いも、品質への自信もある。それでも市場の反応が伸び悩む商品は少なくありません。問題は本当に、「商品力」なのでしょうか。
原因は「商品力」ではなく、「文脈」にある
多くの場合、選ばれない理由は商品の良し悪しではなく、消費者との間にある「文脈(ストーリー)」のズレにあります。作り手が語りたい価値と、買い手が求めている理由。この前提が噛み合わなければ、商品は選ばれにくくなります。
視点を変えると、商品の意味は変わる
ここからは、「商品を変えずに、意味を変えた」事例です。
「贈答品」から「晩酌の相棒」へ
高級ギフトとして展開されていた缶詰は、品質とは裏腹に伸び悩んでいました。見直したのは味や価格ではなく、「食べられるシーン」。晩酌の相棒として再定義したことで、購買理由が明確になりました。
「製造のバラつき」を「独自の価値」へ
均一でない食感は、これまで課題とされてきました。しかし視点を変えれば、それは毎回違う楽しさでもあります。不均一さを個性として表現したことで、商品は支持を集めました。
「いい商品」を「選ばれる商品」に変えるために必要なこと
事例に共通するのは、商品を変えたのではなく、「誰に、どんな理由で選ばれるか」を再定義した点です。価値はすでに商品にある。それをどこに、どう置くか。そこが分かれ道になります。
【PR】この「再定義」を、戦略として扱ってきたチームがある
こうした「意味の再定義」を、感覚ではなく戦略として行ってきたのが株式会社ミニラクリエイティブです。メーカーのこだわりを、消費者の「買いたい理由」へと翻訳する。その戦略的なアプローチによって、 前年比400%を超える売上増を記録するなど、具体的な成果を生み出してきました。この積み重ねを、29年以上続けています。「商品はいいはずなのに、選ばれない」そう感じているなら、まだ語られていないストーリーがあるのかもしれません。