ブランディング戦略におけるパッケージデザインとは? パッケージデザイン総合解説

リブランディングの成功事例

リブランディングの成功事例、および失敗事例を取り上げ、考え方や戦略立案といったものを学ぶためのヒントとして一部ご紹介していきたいと思います。

井村屋

井村屋あずきバー画像引用元:井村屋公式HP
<https://www.imuraya.co.jp/>

1973年の発売以来の主力ブランド「あずきバー」の購入層が50代以上に集中。そこで、ブランドコンセプトを「和」から「和モダン」に変更。30代のお母さんをターゲットにし、自分も子どもも安心して食べられることを訴求する戦略を継続中。

購入層に劇的な変化はまだないものの、若者層からの反応は増えており、さらなる施策を検討し継続していくとのこと。

牛乳石鹸

牛乳石鹸画像引用元:牛乳石鹸公式HP
<http://www.cow-soap.co.jp/web/>

「赤箱」「青箱」の愛称で知られ、固形石鹸市場では確固たる地位を誇ったものの、近年のシャワー主体の入浴スタイルとそれに伴う液体石鹸の需要が増加。同社ならではのこだわり製法は守りながら、ボディソープ「バウンシア」、ハンドソープ「ウルルア」ブランドを開発。

一方で、子ども世代への固形石鹸にまつわる絵本などの啓蒙活動も実践しています。

大幸薬品

「正露丸」は大衆薬として圧倒的知名度を誇りながら、近年の家庭や学校における「置き薬」慣習の衰退により、10代・20代のブランド認知が大きく低下

そこでブランドとの接点創出として、受験生応援キャンペーンを実施し、ノベルティの腹巻プレゼントによって、認知度向上に成果が出てきているとのこと。

チョーヤ梅酒

チョーヤ梅酒画像引用元:チョーヤ公式HP
<http://www.choya.co.jp/>

かつては家庭の自家製が主流であった梅酒を、ブランドとして認知・定着させた企業です。現在においても、「健康」や「おしゃれ」といった付加価値の創造・提供に尽力。

梅酒造り体験や、期間限定のコンセプトカフェ出店などで、梅酒に接点がなかった層へのアピール活動などに尽力しています。

内外薬品

同社の解熱鎮痛薬「ケロリン」といえば、銭湯の風呂桶を広告媒体とする画期的な手法でブランドを確立。しかし、銭湯の衰退という時流に、当然ながら知名度は衰退。

そこで実践したのが、ロゴマークの製品化。バスタオルやスリッパといったメーカーとのコラボにより、ブランド名を知らない世代にも認知させるという戦略。

もうひとつは、企業向けに「置き薬」という慣習のメリットをいま一度啓蒙する取り組み。これらと並行し、ケロリン風呂桶も可能なかぎり継続するという信念を貫いているとのこと。

不易糊工業

「フエキ糊」といえば、多くの方が幼稚園や小学校の図画工作で使った、子どもにも安心なでんぷん糊と思い浮かべることでしょう。そんな確固たるブランドも、近年の少子化は大きな懸念材料。

そうした状況下で注目されたのが、同社の「どうぶつのり」の容器に用いられていたキャラクターを用いたブランド展開。「フエキくん」と命名され、本家の糊はもちろんのこと、同社のハンドクリームやマスク、オリジナル文具などに展開。

さらには、地元大阪の菓子メーカーのパッケージとのコラボなどにも活躍の場を広げています。

スターバックス

スターバックスと言えば世界各地に店舗を展開し、多くの方に愛され続けているブランドです。もともとのロゴには「STARBUCKS」「COFFEE」という文字をハッキリと明記し、企業名と商品名が一目で結びつくデザインになっていました。しかし事業展開を図るにあたって、コーヒーだけのイメージを払拭しようと考えたそうです。すでにブランド力は高まっていると考え、「STARBUCKS」「COFFEE」という文字をなくし、伝説の人魚セイレーンだけのロゴに変更。当時はロゴ変更に対し批判の声も多くあったそうですが、デザイン変更は企業としての方向性を明らかにするうえで大きな転機となっているでしょう。

湖池屋

日本初のポテトチップスの量産化を図った老舗企業で、ポテトチップス以外にも斬新な切り口の商品を数多く販売しています。しかし他社との差がほぼなく、価格だけで消費者から選ばれてしまった結果、他社にポテトチップスのシェアを奪われてしまい業界2位という状況でした。そこで2016年にリブランディングを実施し、低価格競争に入っている現状に着目。「最高のものをつくる」という想いを重視し、原料や工程などを見直し高い品質のポテトチップスをつくりました。またコーポレートマークも家紋を意識した六角形に、「湖」を真ん中に配置したデザインに大きく変更し、他社との差別化に成功しています。

マスターカード

マスターカードと言えば、クレジットカード業界でも多くの方に支持されているブランドの一つでしょう。これまでマスターカードのロゴには重なり合った赤とオレンジの円の中に「マスターカード」というブランド名を明記したデザインになっていました。しかし長年の企業努力によって赤とオレンジの重なる円というデザインだけでも、消費者はマスターカードのイメージが抱く状況です。そのためデジタル社会にも対応できるよう従来のデザインを上手く取り入れながら、よりもシンプルなロゴに刷新。

かっぱ寿司

回転すしとして日本各地に店舗を構えているブランドですが、「安っぽい」「美味しくない」などのイメージが広がりシェアを落としていました。そこで2016年ロゴ・店舗のデザインを変えるなどのリブランディングを実施。ロゴは河童のキャラクターから数枚の皿が重なったデザインに変更しています。また店舗のデザインもオシャレな雰囲気に変更することで、低価格帯の回転すしのブランドイメージを払拭することに成功。新たなイメージをユーザーにアピールしたことで、リブランディングを行った店舗は前年比よりも売り上げ増という好調に推移しています。

効果的なリブランディングを行うために

リブランディングを行ったとしても、失敗をしてしまうケースも少なくありません。失敗しないためには効果的なリブランディングを行う必要があるでしょう。ここでは効果的な方法について紹介します。

既存ブランドの資産を活かす

全くないものをつくり上げるよりも、今あるものを活かした方が負担は少なくなるでしょう。そのため既存のブランドの資産を活用することが重要になってきます。まずは自社の現状をしっかりと把握し、抱えている課題や資産がなにかを明確にしてください。課題や資産が明確化することで、最終的なゴールも見つかりやすくなるでしょう。現状とゴールを近づけるのが、リブランディングです。自社の特徴だけでなく、ブランドのメインになるようなモノを洗い出したうえで理想的な姿を発見することが大切になってきます。発見できれば、ブランドの資産を活かしたリブランディングが行えるでしょう。

客観的な視点を持つ

リブランディングを失敗する多くのケースで、ユーザーが抱くイメージとかけ離れていることがあります。あまりにもイメージと異なるリブランディングを行えば、ブランドイメージを崩すだけでなく、リブランディングにかけた時間・費用を無駄にしてしまうでしょう。そのため自社のイメージを明確にする際、客観的な視点を持つことが大切です。自社のスタッフだけで考えるのではなく、リブランディングを行う前にユーザー調査・マーケット調査などを実施し、どのようなイメージを抱かれているのか把握してください。

時間をかけて取り組む

一刻も早くリブランディングを行い、業績をアップさせたいと思うでしょう。しかしリブランディングは、小手先の方法では意味がありません。しっかりとリブランディング戦略を練り上げ、競合他社の分析調査や市場調査などを行う必要があります。そのためには、ある程度の時間も要し、じっくりと時間をかけることが大切です。さらにリブランディングを行うためには適切なタイミングもあり、あらゆる角度からタイミングを計って検討することも重要になってきます。

反面教師としての、リブランディングの失敗事例

ここからは、リブランディングの失敗事例をご紹介。こうしてはダメだという教訓として、お役だてください。

トロピカーナ

フルーツジュースの世界的ブランド。アメリカでは、ストローの刺さったオレンジのデザインがシンボルマークでしたが、これをごく一般的なデザインに変更したところ、実に20%も売り上げがダウン。トロピカーナらしさがなくなったと、顧客離れがおきてしまったとのこと。

ドクターペッパー

低カロリー版の「ドクターペッパー10」の新発売にあたり、男性消費者にターゲットを絞り、あたかも「女性お断り」というイメージを強烈に展開したところ、女性蔑視の批判を浴びてしまったとのこと。

バーガーキング

ジョーク的な話題づくりのため、ブランド名を「フライズキング」に変更。イメージ画像もフライドポテトに変更し、ロゴには「元バーガーキング」と入れる徹底ぶり。しかし、それが却って冗談なのか本気なのかの混乱と困惑を招いてしまい、話題づくりは失敗に終わったとのこと。

GAP

アメリカのファストファッションとして有名なGAPは、日本でも多くのファンを獲得しているブランドです。そんなGAPのロゴと言えば、青色の背景に「GAP」という白いブランド名が記載されているイメージが強いでしょう。実はロゴのデザイン変更が行われたことがあるのですが、あまりにも不評だったため公表から6日間で新ロゴの使用を中止したことがあるのです。新ロゴは社外から応募されたひとつで、フォントは王道とも言えるHelveticaを用いており、小さな四角には従来のロゴに用いられていた深いブルーにグラデーションをかけたデザインを採用。安易にトレンドを追いかけたようなデザインに仕上がっており、この新ロゴから元のロゴに戻すだけで100億円以上もの費用を損失したと言われています。

Uber

アメリカにあるテクノロジー企業で、ライドシェアやフードデリバリーなどのサービスを提供。そんな多くの人に知られているUberですが、2016年にスマホのアイコンのデザインが刷新されたことがあります。これまでのデザインでUberを認識していた方にとっては、色・形など全てが変わってしまったので「Uber」ということが判別できない状況に陥ってしまいました。これは、デザインについて全くの素人であるCEO自らが指揮を執っていたことが要因です。Uberのファンからは批判を受け、デザイン変更は失敗に終わっています。リブランディングはプロフェッショナルなチームで行うことが大切だと分かる一例と言えるでしょう。

以上の通り、リブランディングとは単にパッケージやロゴデザインを変えればいいというものではなく、その道のプロとともに、戦略を練り上げることが重要なのがお分かりいただけたと思います。その上で、依頼先選びはどうすべきでしょうか?やはり、リブランディングに実績のある業者を選ぶべきと言えます。

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