食品

食品パッケージデザイン会社探しをする前に、デザインが及ぼす影響や事例を紹介し、話題の制作会社もピックアップして取り上げたいと思います。

食品に限らずすべての分野に言えることですが、現在のパッケージデザインにおいては、商品そのもののコンセプトや競合製品との差別化といったことが重要になってきます。というのも、かつて食品というものは、パッケージやネーミングの面白さ、おしゃれさで売れるという時代がありました。しかし、今は違います。時代の流れにより、物事の本質を見極めようとする消費者が増えているからです。

例えばこんな事例があります。鳥肉をオリーブオイルで料理した缶詰。片方は、缶詰の中身を大きく見せ、美味しさに重きを置いて訴求したもの。もう一方は、ビストロなどでよく見かける、黒板に書かれた手書きの日替わりメニューを模してデザインしたもの。消費者テストでは、実に7割近くが前者を支持。ただし、30代女性に限ると半数近くが後者を支持という具合です。

つまり、商品のコンセプトやターゲット設定によって、「正しい」パッケージデザインが大きく変わってくるということ。こうした戦略・立案に長けた、食品分野にノウハウや実績があるデザイン会社こそ、検討したい業者と言えるでしょう。

食品に強いパッケージデザイン会社3選

ミニラクリエイティブ

お酒のパッケージデザインが業界でも評判となっているデザイン会社で、その流れから、お酒とも関連性の高い食品のパッケージデザイン依頼も増えていったとのこと。「南青山で一番の食い道楽な制作会社」と称しているようです。

ミニラクリエイティブのデザイン例

ミニラクリエイティブの商品デザイン例
引用元:ミニラクリエイティブ
<https://minira.co.jp/work/「ラム香るカスタードケーキ」/>

お酒好きにはたまらないお菓子であるラム香るカスタードケーキ。カスタードケーキの写真だけでなく、ラム酒の入ったグラスの写真をさり気なくあしらうことで、お酒が入っていることを強調しています。中心に配置された、カスタードケーキの割れ目からトロリと垂れるクリームのイメージ図は、読者の購買意欲を掻き立てているでしょう。

この商品はお菓子ではありますが、商品を売るターゲット層は子どもではなく大人向けとなっています。ファミリー向けのイメージが強い通常のカスタードケーキのパッケージは白をベースとした可愛らしい、ファミリー向けのお菓子であることがうかがえますが、この商品は全体的に高級感のある雰囲気に仕上げることで、大人向けであることをアピールしています。仕事を頑張った時のご褒美や、特別な日など、ちょっと贅沢したいときに手に取ってみたくなるパッケージになっているといえるでしょう。

また、人は期間限定という文字に弱いという点から、右上に期間限定という文字を金色の字で加えることにより、より効果的に消費者を引き付ける魅力的なパッケージとなっています。

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ヘルメス

スナック菓子のカルビー、菓子パンの第一屋製パンなど、実績多数。ある意味、同じ業界の競合他社を複数クライアントに持っているという点からも、同社の力量や信頼性がうかがえます。

ヘルメスのデザイン例

ヘルメスの商品デザイン例
引用元:ヘルメス
<https://www.hermesinc.co.jp/works/2021/メゾンdeジビエ/>

純国産自然素材で、アレルゲンフリーなドッグフードであるメゾンdeジビエ。愛犬を思う飼い主のために、無添加かつ無保存料のやわらかリゾットを開発しました。メゾンdeジビエの売りは天然鹿肉と有機玄米を使用し、栄養バランスが整っていること。

そこで、パッケージ下部に鹿肉と玄米、野菜の絵を挿入し、消費者にダイレクトに情報が伝わるよう工夫しています。中心には商品の写真を置き、右の赤茶の丸の中にはこだわった部分を記載し、消費者が安心して手に取れるよう、臨床試験済みであることを伝えています。

また、全体的にシンプルかつ品のあるデザインに仕上げ、洗練された印象なのが魅力です。

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T3デザイン

有効成分を多く含む植物由来の健康食品として話題になりつつある「スーパーフード」の事例で注目されています。ラベルで「くびれ」を表現し、期待されるダイエット効果を暗示するなど、理にかなった案を実践しています。

T3デザインのデザイン例

T3デザインの商品デザイン例
引用元:T3デザイン
<https://www.t3design.co.jp/products/detail/281>

かわいいとおいしそうのコラボをコンセプトに据えているふぉわっぱ。ひと言でいえばヨーグルト食品なのですが、パッケージでヨーグルトの食感を表現することで、一味違ったヨーグルトであることをアピールしています。

まずヨーグルトというよりはクリームやバニラアイスを思わせるような写真が目に入ることでしょう。この時点で一般的なヨーグルト食品とは違うイメージを与えられているのではないでしょうか。そして文体も親しみやすさをこめた柔らかいフォントが使われています。ヨーグルトのふわふわした食感や軽さが、まだ食べたことのない消費者にも伝わってくるパッケージです。

天面のデコレーションがどっと柄になっているのは、ついつい食べてしまうリズムを表現しているからなのだそう。食べたらパッと消えてしまう食感を、このドット柄とふぉわっぱの文字に表しているのです。文字も動きのあるタイポグラフィを採用することで、口の中に入れた瞬間になくなってしまう独特の食感をアピールしています。

また、メインカラーにはパステルイエローとブルーを選び、かわいさを保ちながら、店頭で並んだ際にインパクトがあることも重視しました。パッケージだけで触感とコンセプトが伝わる、工夫されたデザインが特徴です。

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その他のパッケージデザインリニューアル成功事例

キリンレモン(KIRIN)

飲料メーカーのKIRINが展開する人気ブランド「キリンレモン」。1928年に発売が開始され、一時期は売り上げが停滞していたものの販売から90周年を迎えた2018年にパッケージや味をリニューアルし、飲料業界でヒットと言われる目安「2週間で1000万本」を大幅に上回る1週間で1000万本を販売し、注目を集めています。

キリンレモンのトレードマークだったブルーとイエローでボトル全体を覆うようなパッケージは、フレッシュさはアピールできるものの、発売当初にPRしていた「着色料を使っていない無色透明の炭酸飲料」というイメージは伝わりにくくなっていたのです。そこで、パッケージを大幅に変更することを決意。90年前のパッケージを踏まえて、キリングループを象徴する聖獣のキリンを中央に置き、ラベルには黄色と青色と水色のいわゆるキリンレモンカラーを使いながらも着色料不使用であることを伝えるために透明の印象を強くしました。

Meiji The Chocolate

良質なカカオを使用し、高級路線のチョコレートを販売していたMeiji。ところが、2014年に販売した初代の「The Chocolate」は、品質には申し分がなかったにもかかわらず、イメージしていたよりも売れ行きが伸びませんでした。

初代のパッケージでは、文字やカカオの写真を載せ、質の良いカカオを使用した製品であることをアピールしていました。カカオをパッケージ全体に敷き詰めるようにデザインされた上に、シンプルながらゴージャスさが感じられるパッケージとなっていたのです。色使いもクラシックさを感じさせるモノトーンと、ゴールドの2色がありました。しかし、こちらのパッケージでは商品の良さがつたわらなかったのです。

まず消費者はカカオの見た目を認知していない人が多く、企業が思うような効果が得られなかったようです。当初のパッケージデザインを見た消費者の多くには「嗜好品としての大人のチョコレート」ではなく、「少し高いチョコレート」と誤った認識を持たれてしまいました。

そこで、Meijiはパッケージをクラフト調のものに変更し、上質な情緒感が出るよう工夫。シンプルで手作り感のあふれる見た目にしたことで、消費者の認識はガラリと変わりました。

パッケージはシンプルながら、カカオ豆を連想させるような柔らかいイラストをパッケージの中心に配置。チョコの種類によって中心に施されるデザインが変わりました。

また、Meijiはチョコレートの形状も4種類に分別し、味ごとの開設を載せたグラフも作成。まるでワインのような味の解説POPを、コンビニやスーパーに置き、より「嗜好品」であることをアピールしました。そのような作戦が功を奏し、3か月で目標の二倍も売り上げるに至ったのです。

アサヒスーパードライ

いまでこそビールの定番として認知されているアサヒスーパードライですが、1984年は、9.9%という史上最低の市場シェア率でした。そのような事態から脱却すべく、アサヒは約5,000人ものユーザーに調査を行いました。

その結果、消費者が求めているのは「爽快ですっきりしたビール」であり、当時の業界で常識となっていた「苦くて重いビール」ではないことを発見。アサヒは消費者のニーズに応えるべく、辛口な生ビールの開発に乗り出しました。

そして、消費者の求める商品であることをアピールするために、商品名を「アサヒスーパードライ」に変更し、パッケージは辛口のイメージに合ったメタリックシルバーを採用。文字はシンプルに黒のデザインですが、スーパードライを赤字にすることで、コンセプトが際立っています。

消費者のニーズをしっかりと捉え、ニーズに合うようデザインも作り替えたことが、商品のヒットに繋がったといえるでしょう。

生茶

2016年にリニューアルし、大幅に売り上げを上げたキリン生茶。その売り上げ成績はさまざまな業界から注目を浴びています。キリンが商品をリニューアルするときに気を付けたのが、極力コピーワードを減らすことでした。

リニューアル前の生茶のパッケージは、グリーンのテイストが前面に押し出されたパッケージで、ペットボトルの形状も一般的に流通している形状のものを使用していました。「生茶」の文字のデザインの下には「緑茶」という印のようなものがあしらわれており、この飲み物が緑茶であることを前面にアピールしていたのです。

メーカー側としてはさまざまな説明をパッケージに入れ込みたいと考えておりましたが、その考え方から路線を変更し、今度は緑一色で、パッケージに沿える言葉も極力少なくしました。

この決断が功を奏し、一般に受け入れられるデザインとなったのです。

パッケージをデザインする際に、メーカー側としてはこだわった点をあれこれと説明したくなってしまうものですが、洗練されたデザインに仕上げるためには、コピーワードを減らしたほうが賢明です。シンプルなデザインは生活の質を向上させ、生茶を「嗜好飲料」の位置づけまで高めました。

生茶は「日本パッケージデザイン大賞2017」の一般飲料部門で金賞を受賞しており、つい持ち歩きたくなるような美しいデザインのボトルシルエットは、確かな評価を得ています。