リブランディングとは、商品やサービス、企業のブランドイメージなどを再構築することです。リブランディングを適切に行わなければ、企業の持つブランド力を高めるのではなく下げてしまう恐れもあります。このページでは、リブランディングの進め方やポイントを解説するので参考にしてください。
どのように進めていけば良いのかリブランディングの進め方について具体的に紹介します。
リブランディングを進める際、まずは現在の状態を正確に把握することです。リブランディングをするにあたって、何を変えた方が良いのか、何を残した方が良いのかを明確にしなければリブランディングの方針が決まりません。
まず経営陣や現場のスタッフなどにブランドの長所・短所や課題、ブランド力を高めるためのアイデアなどを調査します。ほかにも顧客や取引先などにブランドの印象や競合ブランドとの違いなどをアンケートするなどの社外調査も一つの方法です。実際に競合ブランドの商品を使用してみて、どんな違いがあるのか、自社が劣っている点は何かなどを調査するのも現状把握に役立つでしょう。
現状把握ができれば、問題点の洗い出しを行います。売り上げが落ちている理由やブランド力が低下している根本的な要因を特定する作業しましょう。たとえば購入者が減少しているのであれば、それはリピーターが低下している、そもそも購入希望者が低下しているなどの問題点が考えられます。年数とともに既存の購入者が高齢化したことによって、ブランドにアダルト・シニアのようなイメージがついたことで、若年層の新規獲得がしにくいという可能性もあります。
また既存の顧客が高齢化したことで、ブランドのターゲット層と乖離してしまい、リピート数が減少した可能性も挙げられるでしょう。さらに顧客の購入単価が落ちている状況であれば競合他社よりも「高そう…」といったイメージが強く、似たような競合ブランドのリーズナブルな商品を購入する流れになっている恐れもあります。
つまり単に売り上げが落ちている、リピート数が減っているだけでは本当の問題点を掴むことができません。問題点を曖昧にした状態でリブランディングを行えば、本質の問題点を改善できずにリブランディングが失敗に終わってしまいます。リブランディングを行うと決めた早い段階で、現状と向き合いながら、何がどのように問題なのかを分析することが大切です。
リブランディングを行う上で、どのようなブランドの姿を目指すのかを明確にしなければなりません。ブランドの軸を事前に考えておかなければブランドの強みやコンセプトなどを顧客に伝えることができず、どんな会社なのかイメージがグラついてしまいます。もちろん時代の流れとともに変えることを求められるケースもありますが、すべてを変えるのではなく、残すべき軸は残すという判断が必要です。
ブランドの軸とは企業の理念やビジョンのようなものとなり、基本的にはリブランディングをしたとしても本来の軸を変えることはありません。軸が揺らいでしまえば、既存の顧客を失う要因になりかねないので注意しましょう。
次にリブランディングの戦略を練っていきます。戦略を立てるにあたって、まずはブランドの未来像を考えることから始めましょう。新しく獲得したいターゲット層を設定します。性別・年齢・属性だけでなく、どこでショッピングするのか、そんな音楽を聴くのかなど細かく設定することが大切です。作り上げたターゲットイメージが、どんな商品を喜ぶのかを想定することがブランドの理想的な未来像となるでしょう。
未来像に沿った戦略を立てるためには「SWOT分析」「ポジショニングマップの制作」「バリューチェーン分析」などの方法があります。
SWOT分析とはブランドの強み(Strength)・自社の弱み(Weakness)・機械(Opportunity)・脅威(Threat)を分析する方法で、各分析結果を上手く活用しながら戦略を練るものです。またポジショニングマップとはターゲットが購入したくなるような動機を設定したうえで、重要視するポイントを絞り込む方法で、さらに競合他社と比較することでターゲットが求めている自社のポジションを確立する方法となります
。バリューチェーン分析とは自社と競合他社のブランド価値を比較しながら分析し、消費者のニーズ・市場の変化などで競合他社の動き想定しつつ、自社の強みを更に高めるという方法です。これらの分析方法を上手く活用することによって、最善の戦略を立てられるでしょう。
リブランディングはブランドの価値を再構築したら、それで終わりではありません。消費者に新しいブランドのイメージを浸透させることが重要です。もちろん再構築する業務も大変ですが、浸透させることも難しい仕事になるでしょう。企業の内部だけでなく、顧客・取引先の双方に浸透させる必要があります。
まず企業内部に浸透させるためにはイベント・ワークショップなどが有効な手段です。一方通行でブランドの価値を伝えるよりも実際に体感することでスムーズに浸透させられるでしょう。
また外部への対策としては雑誌・ポスター・TV・CM・SNS・WEBなど、どのコンテンツが有効か考えます。未来像でイメージしたターゲットに合わせて、有効なコンテンツを見極め、コンテンツに合った方法を検討するといいでしょう。また視覚的・聴覚的効果を高めるためには動画もオススメです。感動・共感など心を動かすような動画であれば、1人から数十倍・数百倍もの人に拡散される可能性もあります。
いつ始めるかがリブランディングでは重要になってきます。タイミングを見誤ってしまうと、せっかくのリブランディングの効果も薄くなりかねません。ここではリブランディングを始めるタイミングについてみていきましょう。
企業にとって世代交代・企業買収などのタイミングは、これまで培ってきた企業風土や伝統を変える絶好の機会と言えます。企業風土や伝統を更新しないままにしておくと、年数とともに消費者が求めている企業・製品・サービスのイメージから大きくずれてしまうことも。顧客の信用を失い続ける恐れもあるでしょう。経営者が交代するのであれば、そのタイミングで時代の変化と現時点のブランドのイメージが一致しているかを検証してください。時代にマッチした製品・サービスなどを提供できるようにリブランディングすることによって、新規顧客を獲得できるチャンスが広がるでしょう。
新規ビジネス・商品を展開するタイミングなど、何らかの大きな変革をもたらすタイミングでリブランディングを行うのもいいでしょう。企業のイメージを一新できるリブランディングを行うことによって、既存の顧客だけでなく新規顧客の獲得にもつながります。大きく成長した企業だからこそ、良い部分は継承し、時代錯誤となった部分は恐れずに改善していくことが大切なのです。
店側は料理の味や高級感が企業の強みと考えていたとしても、顧客が必ずしも料理の味・高級感に価値を感じているわけではありません。むしろ味は美味しいが、接客がダメと感じている可能性もあります。このように店と顧客のイメージに乖離があれば、ブランドとして正しいマーケティングが行えなくなってしまうでしょう。だからこそイメージの乖離を感じたときはリブランディングを検討してください。顧客が感じている店のイメージとすり合わせることで需要と供給が噛み合い、業績アップが期待できるでしょう。
既存のブランドイメージが徐々に時代にマッチせずに、古いと思われているケースも少なくありません。その場合にはリブランディングを早い段階で行ったほうが良いでしょう。新しい価値・サービスを提供できなければ、既存の顧客が離れる要因になります。一度でも「古い」というイメージがついてしまうと、そのイメージを払拭するのは非常に難しいでしょう。たとえ大規模な企業であっても過去の成功例に固執して変化できなければ、衰退するケースもあるのです。だからこそ早い段階で新しいサービス・商品などの価値を生み出すことが大切になってきます。
競合他社との差別化が図れないと感じた時には、リブランディングを行うタイミングです。リブランディングすることによって、他社との違いを明確化。企業独自のブランドイメージをプラスすることで競合他社に勝ち抜くことができるでしょう。また競争に巻き込まれてしまうと収益が不安定になりかねません。安定的な収益をはかるためにも、リブランディングは対策の一つになります。
そもそもリブランディングは、なぜ行う必要があるのでしょうか。新型コロナウイルスの影響だけでなく、市場・消費者の価値観は変わり続けており、多様性も広がっています。それに伴って、企業の価値も問われるケースが増え続けている現状です。社会的背景の変化を考慮しつつ、企業の立ち位置・アプローチは適切なのか、市場・消費者の共感を得ているのかを常に考える必要があります。
その方法がリブランディングであり、これまでの企業・商品・サービスを再構築することです。これまでの顧客などと全く違った関係性を築けるよう取り組みを行うのもリブランディングの一つだと言えます。
リブランディングを行う際、見直すポイントも重要になってきます。ここでは見直す内容についてみていきましょう。
まずはサービス・商品自体に改善が必要かどうかを検討しましょう。例えば食品であれば「原材料はどうか」「環境にやさしいものかどうか」「素材・カロリー・サイズは適切かどうか」などを一つひとつ見直していきます。社会変化や消費者の声にこたえられるように商品・サービスのリブランディングを検討してください。
ブランドも年数と共にターゲット層を再度検討しなければなりません。これまでブランドを愛し続けてくれた顧客も加齢とともにブランドのコンセプトから合わなくなるケースも。ブランドイメージに合った新規顧客を獲得しなければブランドは衰退していくだけです。だからこそブランドのイメージに合ったターゲット層はどこなのか、ターゲット層を変更する必要はないのかを考える必要があります。たとえば30代の女性をメインターゲットにしていた企業が、10代の女性に変更することでリブランディングが成功した事例もあるのです。ターゲット層の見直しはリブランディングにとって欠かせない重要なポイントと言えるでしょう。
自社のポジションがどこにいるのか、どこがベストなのかを考えることもリブランディングを進めるにあたって重要になってきます。顧客・社会からブランドに対し、どのようなイメージを抱かれているのか客観的に分析しましょう。もちろん現在のポジションがベストであれば見直す必要はありませんが、もっとベストな立ち位置があるなら変化していくことが大切です。
リブランディングを成功させるために押さえたい4つのポイントを紹介します。
リブランディングをするからと言って、すべてを新しく構築する必要はありません。「ブランド力(知名度・認知度)」「ブランドから連想できるイメージ」「品質の評価」「ブランドの信頼度・愛着度」「その他の著作権・商標権など」のブランドエクイティがあり、それらを活かすことが大切です。
リブランディングとはブランドエクイティを向上させながら、現状よりも理想像に近づけられるようブランドを高めることです。今あるものを有効に活用しなければ勿体ないでしょう。そのため自社のブランドエクイティをまずはチェックし、そのうえで認知度を高めるためのマーケティング、ターゲット層を獲得するためのサービス充実、企業内でのコンセプト共有が重要になってきます。
時代の流れなど環境が変化することは、どんなに企業が頑張っても変化をコントロールすることは難しいものです。リブランディングでは環境変化を上手く分析しながら、自社の強みに変えられるよう味方につけることが大切です。
環境変化を味方につけるためには「PEST分析」「3C分析」が有効な手段と言われています。PEST分析は経済・社会・政治・技術の要因をそれぞれに分析する方法で、ブランドが提供する価値を確認しながらブランドが潜在的に秘めている要因を把握することで、リブランディングの戦略に活用できるでしょう。
3C分析とは、市場・自社・競合の視点で分析するマーケティングのフレームワークとなるものです。市場舎エアや収益力などの把握し、どう市場変化を味方に付けるのか分析する方法で、ブランドのイメージをハッキリさせることによってリブランディング戦略に役立つでしょう。
リブランディングで新しく構築したブランドのコンセプトを消費者に視覚的に伝える重要な方法が「ブランディングデザイン」です。リブランディングを図る際に企業のテーマや未来像に合わせたロゴ・パッケージなどのデザインをつくります。このデザインは多くの消費者にとって最も目に留まるものなので、幅広い方々に好感を持たせるデザインが良いでしょう。どんなにコンセプトが良くても、マイナスなイメージを抱かせるようなデザインであればリブランディングは失敗に終わる可能性が高くなります。
ブランディングデザインを再構築するのであればブランドのイメージを的確に表現しつつ、インパクトのあるデザインが良いでしょう。コンセプト・ターゲット層などを明確にし、しっかりとアピールできるブランディングデザインをつくることが大切です。
最後にポイントとなるのが、客観的な視点です。ついブランドの愛着が高いスタッフがリブランディングに携わると、冷静に判断できない恐れもあります。もちろんブランドに愛着を持ったスタッフは企業としては嬉しいものですが、売り上げ・顧客のニーズなどを客観的に判断できなければ適切な分析ができないでしょう。客観的な視点を持ち、冷静にブランドの将来像を見つめなおすことが大切です。
リブランディングを成功させるためには、企業の現状や顧客調査、競合他社の状態など様々な要因を分析することが大切になってきます。リブランディングを行うために専門的な知識も求められ、多くの時間を割く必要もあるでしょう。客観的な視点を取り入れるためにもブランディングやリブランディングを専門に手掛けている企業の手を借りるのも一つの方法です。