ブランディング戦略におけるパッケージデザインとは? パッケージデザイン総合解説

自動車業界のリブランディング事例

自動車業界のリブランディング事例

自動車業界も他の業界と同じように、さまざまなメーカーがリブランディングに取り組んでいます。特に近年ではブランドロゴのリニューアルなど大胆な取り組みを行ったメーカーも多く見られますが、デジタルメディアの普及などによる影響から、フラットデザインが多く採用されている傾向があります。

こちらの記事ではリブランディングを行った事例として、いくつかの事例をご紹介していきますのでぜひ参考にしてみてください。

リブランディング事例 日産

日産自動車株式会社HPキャプチャ
画像引用元:日産自動車株式会社公式HP(https://www.nissan.co.jp)

2020年、自動車メーカーの日産が大胆なリブランディングを行っています。その中でも、多くの人の印象に残っていると考えられるのが、これまで20年以上使用してきたブランドロゴの変更であるといえます。

それまで使用されてきたロゴデザインは、グラデーションやエンボスなど立体エフェクトを活用している点が特徴であり、車両のボンネットに載っているエンブレムをイメージさせるものでした。この2020年のリブランディングでは、デザインテーマは踏襲しつつも、立体的なデザインから一色のフラットなデザインに変更が行われています。

このリブランディングのプロジェクトが開始したのは2017年。日産自動車株式会社のグローバルデザイン担当専務執行役員であるアルフォンソ・アルバイサの主導によって、「細さ、軽さ、柔軟性」といったテーマのもとで進められました。

ロゴの変更というリブランディングは非常に大きな変化であると感じている方もいるかもしれませんが、同社は実はこれまでも時代の変化に合わせる形でロゴデザインの変更を行ってきた歴史があります。今回のロゴデザインの変更は、デジタルメディアにもうまく対応しているほか、シンプルなデザインとしたことによってさまざまな場面での活用が可能になったとともに、アナログ・デジタルいずれの場面でも使いやすくなった点が特徴。さらに、3D効果が廃止されていることにより、制作時の工程・コストも下がるため、環境に優しい点もポイントといえます。

リブランディング事例 VW

フォルクスワーゲンHPキャプチャ
画像引用元:フォルクスワーゲン公式HP(https://www.volkswagen.co.jp/ja.html)

2019年、フォルクスワーゲン(VW)では大胆なリブランディングを行いました。このリブランディングではロゴのアップデートが行われており、これまで使用されてきた立体感やメタル感のあるロゴから、シンプルでフラットなものに変わっています。

同社のリブランディングプロジェクトは、「New Volkswagen」と呼ばれていますが、9ヶ月もの期間をかけて行われました。さらに、19の社内チームに加えて17の外部デザインエージェンシーが関わるといった大きなプロジェクトでした。新しいロゴは、構成要素を極端に減らしたことによってモダンでシンプルな雰囲気になっている点が特徴です。この点からロゴ利用に関する汎用性が非常に上がっており、特にデジタルメディアでの利便性が向上しているといえます。これは、同社ではWebやモバイルアプリなどのデジタルプラットフォームにおいてブランド展開を進めていく予定となっていた点も関連しているとされています。

このVWの新しいロゴは、これまでと比較すると細いラインが採用されていることによって繊細な雰囲気を持ったものとなっています。また、一色のみが採用されている点もポイント。全体的なコントラストが強くなっているため可視性も高まっており、利用シーンを選ばない高い汎用性を獲得したロゴが生み出されたといえるでしょう。

リブランディング事例 BMW

BMW JapanHPキャプチャ
画像引用元:BMW Japan公式HP(https://www.bmw.co.jp/ja/index.html)

BMWは2023年3月にリブランディングを行っています。このタイミングでブランドロゴの刷新も行われており、これまで使用されていた立体的でメタリックなデザインから、フラットなデザインになりました。さらに、BMWではロゴの背景を透明にするデザインを採用している点も特徴のひとつです。

同社のロゴは、飛行機のプロペラがモチーフになったといわれています。このロゴが登場して以来、時代と共に調整が行われてきましたが、初期のデザインからそれほど大きな変更は行われてきませんでした。

今回のBMWが行ったリブランディングの目的は、デジタルネイティブの若い層をターゲットとし、そこにアピールすること。そのため、立体的なグラデーションは廃止、フラットなスタイルを採用されたといわれています。これまでのBMWの歴史の中でも、非常に大胆なリブランディングが行われました。

このようにフラットなデザインの採用によって、BMWのイメージを大幅に刷新したといえます。このことから、同社が未来に向かって進んでいるイメージを与えることができるでしょう。さらに、この新しいロゴは背景の入れ替えができるため、Instagramなどで印象的なイメージを与えられる点も特徴のひとつとなっています。

リブランディング事例 マツダ

マツダ株式会社HPキャプチャ
画像引用元:マツダ株式会社公式HP(https://www.mazda.co.jp)

マツダでは、2%という世界シェアを逆手に取り、ユーザーに寄り添ったブランディングを行いました。

優れた技術力を持っているものの、石油ショックやバブル崩壊の影響により経営危機に幾度も見舞われた同社は、フォードの傘下に入り、経営再建に取り組んできました。しかし、リーマンショックがきっかけでフォードがマツダから手をひいたことで、自力で生き残りのための取り組みを行う必要が出てきました。

このような背景から、同社は2%のユーザーに特化した車づくりを行いました。具体的には、2009年に同社では新型車の開発に先駆け、全世界の中で5人の熱狂的なマツダファンにヒアリングを行って得られた意見を車作りに反映させています。その後、2010年には新しい技術であるX-5は世界的な大ヒット車となりました。同社のリブランディングは、消費者のニーズをしっかりと捉えていたことで高い成果を生み出したといえるでしょう。

自動車メーカーのリブランディング分析

こちらの記事では、大胆なリブランディングを行ってきた自動車ブランドをご紹介してきましたが、そのうち、日産、VW、BMWではロゴデザインがリニューアルされています。これらの新しいデザインには、いくつか共通点が見られます。

まずフラットなデザインを採用している点が共通点として挙げられます。自動車メーカーでは、これまでグラデーションや立体的なイメージ、メタル的なイメージを採用してきました。しかし、デジタルが消費者の生活に大きな影響を与えるようになってきたという変化に対応するため、ロゴもフラットなものに変化。デジタルファーストの概念でデザインされたロゴであるといえるでしょう。

また、利用されている色や構成する要素が非常に少ない点も特徴です。このようなデザインの採用により、印刷など出力を行う際に必要となるインクを抑えることにもつながってきます。この点から、新しいデザインは環境に配慮されたものであるともいえます。

さらに、この新しいロゴには細い線が用いられているため洗練された印象も。自動車はどちらかといえば重厚なイメージを与えるプロダクトであるものの、そこから脱却しており、電子的な印象も受けると感じる方もいるでしょう。これは、今後自動車もデジタルテクノロジーが主流になってくることを見越したデザインが採用されているとも考えられます。

まとめ

自動車業界におけるリブランディングの事例を紹介してきました。今回取り上げた事例のうち、多くの事例でロゴデザインのリニューアルが行われていますが、リブランディングにおいてはロゴのデザイン変更は多く行われています。

このロゴデザインのリニューアルにより、業界や社会においてその企業のポジションを示すことに加え、ロゴマークのリニューアルを通じて社内での方向性を示せるようになるなどの効果が期待できます。

また近年、自動車業界に限らずロゴデザインがシンプルになっている傾向が見られますが、これは上記でもご紹介したとおりデジタルデバイスが普及してきたことなどが影響しているとされています。このように、一見簡素に見える普遍的なデザインは、未来へと進み続けるそれぞれのブランドの決意が現れているといえます。

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