ブランディング戦略におけるパッケージデザインとは? パッケージデザイン総合解説
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小ロットパッケージのメリットと活用法、コストを抑えてデザインするには?

オリジナルのパッケージを作りたいけれど、初期費用が高くて手が出せない、在庫を抱えるのが怖い、そうお悩みを抱える方は少なくありません。しかし、近年、デジタル印刷技術の発展により、必要な時に必要な分だけパッケージを製作できる「小ロットパッケージ」が注目を集めています。

この記事では、小ロットパッケージのメリットから具体的な製作方法、費用を抑えるポイントまで、わかりやすく解説いたします。

小ロットパッケージが注目される理由

小ロットパッケージは、従来の大規模なパッケージ製造では難しかった課題を解決し、多くのビジネスチャンスを生み出しています。初期費用や在庫リスクの軽減、そしてテストマーケティングへの柔軟な対応力は、特に小規模な事業主や個人クリエイターにとって大きな強みとなるでしょう。

初期費用を大幅に削減できる

従来のオフセット印刷方式では、色ごとに「版」を作成する費用が必ず発生し、これがパッケージ製作における高額な初期費用の大きな要因となっていました。また、箱の形状に合わせて作る「木型代」も必要となり、特に少量生産ではコスト的な大きな壁となっていました。

しかし、近年普及しているデジタル印刷技術は、版を使用せずにデータを直接印刷するため、この版代が一切かかりません。同様に、レーザーカッターなどの最新技術を使えば、複雑な形状のパッケージでも木型を必要としないケースが増えています。

これにより、数万円から数十万円かかることもあった初期費用を大幅に削減することが可能になり、個人事業主やスタートアップ企業でもオリジナルのパッケージを作りやすくなりました。初期投資を抑えながら、商品のブランディングを高められる点が小ロットパッケージの最大の魅力の一つと言えるでしょう。

在庫リスクを最小限に抑える

大量生産を前提とした従来のパッケージ製造では、発注の最小ロット数が非常に大きく設定されていることが一般的でした。そのため、一度に多くのパッケージを発注する必要があり、もし商品が予定通りに売れなかった場合、大量のパッケージが不良在庫となってしまうリスクがありました。

また、パッケージの保管場所を確保するコストも無視できません。小ロットでの製造を可能にする技術は、このような課題を根本的に解決します。必要な時に必要な分だけ発注できるため、過剰な在庫を抱えることがなく、保管スペースのコストも削減できます。

これによりキャッシュフローが改善され、経営資源を他の分野に有効活用することができます。特に、市場の動向が読みにくい新商品や、期間限定品などにおいては、在庫リスクを最小限に抑えられるというメリットもあります。

多品種・少量生産でテストマーケティングを成功させる

消費者の嗜好が多様化する現代において、一つのパッケージデザインで全ての顧客層にアピールすることは難しくなっています。そこで有効なのが、多品種・少量生産によるテストマーケティングです。

例えば、ターゲット層ごとに異なるデザインのパッケージを少量ずつ作成し、それぞれの反応を比較・検証することができます。地域限定デザインや季節限定デザイン、コラボレーション商品など、市場のトレンドやイベントに合わせて柔軟にパッケージを切り替えることも可能です。

従来の大量生産体制ではコストや手間の観点から実現が難しかったこれらの戦略が、小ロットパッケージによって現実的になりました。これにより、市場のニーズを的確に把握し、より効果的な商品開発や販売戦略を立てることができます。消費者の心を掴むための新しいアプローチとして、非常に有効な手段と言えるでしょう。

小ロットパッケージの製作方法と流れ

小ロットパッケージの製作は、大きく分けて4つのステップで進められます。ここでは、それぞれのステップで考慮すべきポイントを詳しく見ていきましょう。

ステップ1:発注する数量を決める

パッケージ製作を始めるにあたり、まず最初に行うべきことは、発注する数量を決定することです。

小ロットパッケージは、文字通り「少ない数」から発注できるのが特徴ですが、製作会社によって最小ロット数は大きく異なります。数枚から注文できるところもあれば、数百枚単位が最小ロットとなる場合もあります。

具体的な数量を決める際には、商品の販売計画を考慮することが重要です。例えば、オンラインストアで試験的に販売するだけなのか、特定のイベントで配布するのかなど、用途によって必要な枚数は変わります。

また、印刷会社によっては、発注数量が増えるにつれて一枚あたりの単価が下がる料金体系になっていることが多いため、ある程度の数量をまとめた方がコストパフォーマンスが良くなる場合もあります。

まずは販売目標や予算を明確にして、用途にあったロット数を検討するようにしましょう。

ステップ2:パッケージの材質と形状を選ぶ

次に、商品のイメージや用途にあったパッケージの材質と形状を選びます。小ロットでも選択できる材質は豊富になってきており、一般的なコート紙やマットコート紙の他、クラフト紙や特殊紙など、商品の個性を際立たせるための様々な素材が利用可能です。

材質によって印刷の仕上がりや手触り、耐久性が大きく変わるため、実際にサンプルを取り寄せて確認することをおすすめします。形状についても、定番の箱型から、スリーブ、ピローケース、ヘッダー付きの袋など、多岐にわたるタイプから選べます。既成のテンプレートを利用することで、木型代といった初期費用を抑えながらも、プロフェッショナルな仕上がりが期待できます。

商品が持つ世界観やブランドイメージを最も効果的に表現できる組み合わせをじっくりと検討することが大切です。

ステップ3:デザインデータを作成する

パッケージの材質と形状が決まったら、いよいよデザインデータの作成に入ります。

多くのパッケージ印刷会社では、Adobe Illustratorで作成されたデータを入稿することを推奨しています。これは、イラストレーターのデータが拡大・縮小しても劣化しないため、印刷時に高精細な仕上がりを保証できるからです。

具体的なデータ作成の際には、印刷会社から提供されるテンプレートを必ず使用してください。テンプレートには、断裁線や折り線、塗り足しといった印刷に必要な情報が正確に記載されており、これに従ってデザインすることで、仕上がりのトラブルを防ぐことができます。

もしイラストレーターのソフトをお持ちでない場合でも、最近では無料で使えるデザインソフトやウェブベースのツールが充実しており、一部の印刷会社ではテンプレートが提供されている場合もあります。

ステップ4:印刷・納品

最終的に完成したデザインデータを入稿したら、印刷工程へと進みます。小ロットパッケージの場合、多くはデジタル印刷機が用いられ、版を作成する工程がないため、従来のオフセット印刷よりも格段にスピーディーに印刷が完了します。

印刷後は、パッケージの形状に合わせてカットし、組み立てやすいように折り加工を施すのが一般的です。納品形態は、平らな状態で届く「展開納品」が主流で、お客様ご自身で箱の形に組み立てていただくことになります。

これにより、輸送コストを抑えることができる他、保管スペースもコンパクトに済みます。製品の用途やサイズによっては、組み立て済みの状態で納品してもらえるサービスもありますので、発注時に確認してみるとよいでしょう。

費用を抑えるためのポイント

小ロットパッケージは初期費用を抑えられるのが強みですが、さらにコストパフォーマンスを向上させるためのポイントがいくつかあります。賢くパッケージ製作を進めるために、以下の点を押さえておきましょう。

デジタル印刷を活用する

小ロットパッケージの製作費用を抑える上で、最も重要な要素の一つがデジタル印刷の活用です。従来のオフセット印刷は、大量の印刷物を均一に、高いクオリティで仕上げるのに適していますが、版を作成するための費用が初期コストとして必ず発生します。

一方、デジタル印刷は版を必要とせず、コンピューター上のデータを直接印刷機に出力するため、版代という大きな初期費用が不要になります。これにより、数枚からでもコストを気にせずパッケージを製作できるようになったのです。

また、デジタル印刷機は版替えの必要がないため、異なるデザインを続けて印刷することが容易であり、多品種・少量生産のニーズにも柔軟に対応できます。この技術革新が、小規模なビジネスや個人クリエイターでも、プロフェッショナルなパッケージを手軽に制作できる環境を生み出しました。

既成のテンプレートや規格品を利用する

パッケージ製作では、箱の形状やサイズを決めるための「木型」を作成する費用が大きなコスト要因となることがあります。

オリジナルの木型を作成すると、数万円から数十万円の費用がかかることも珍しくありません。しかし、多くのパッケージ製作会社では、汎用性の高い「既成のテンプレート」や「規格品」を多数用意しています。これらはすでに木型が存在するため、木型作成費用が不要となり、その分コストを大幅に抑えることができます。

既成のテンプレートを利用しても、デザインの自由度が損なわれるわけではありません。例えば、箱のサイズや形状は既存のものでも、印刷するデザインを工夫することで、オリジナリティあふれるパッケージを制作できます。まずは製作会社のウェブサイトで、どのようなテンプレートや規格品が用意されているか確認してみるとよいでしょう。

無地サンプルでサイズ感を確かめる

パッケージ製作で失敗しないために、発注前に必ず行ってほしいのが「無地サンプル」の取り寄せです。

画面上のデザインデータだけでは、実際に商品を入れたときのサイズ感や、パッケージの組み立てやすさ、手触りなどを正確に把握することは難しいものです。特に、商品をパッケージに収める作業は意外と手間がかかることがあり、サイズが少しでもずれていると作業効率が著しく低下してしまいます。

無地サンプルは、実際の材質や形状、サイズを正確に確認できるため、完成品のイメージを具体的に掴むのに役立ちます。また、無地サンプルは安価または無料で提供されていることが多いため、本番で失敗するリスクを回避するための有効な手段と言えるでしょう。本発注前に必ず現物を確認し、後悔のないパッケージ製作につなげてください。

小ロットパッケージ制作のQ&A

Q. 最小ロットはどれくらい?

小ロットパッケージの最小ロット数は、製作会社やパッケージの種類、印刷方式によって大きく異なります。

一般的には、数枚から数十枚といった極めて少ない数量から注文できるサービスが増えてきています。特に、ウェブサイト上でデザインデータをアップロードして注文するタイプのサービスでは、1枚から注文できるところも珍しくありません。

これは、デジタル印刷技術の発展によって、版を作成する工程が不要になったためです。しかし、箱の形状によっては、木型代などの初期費用がかかる場合もあり、その場合は数十枚から数百枚が最小ロットとなることもあります。

Q. どんなデザインデータが必要?

パッケージのデザインデータとして、一般的に求められるのはAdobe Illustratorのデータです。

これは、イラストレーターで作成されたデータがベクター形式であり、拡大・縮小しても画質が劣化しないため、高精細な印刷が可能だからです。入稿する際には、印刷会社が提供するテンプレートを使用し、指定された形式に沿って作成することが求められます。

また、写真やロゴなどの画像を配置する場合は、解像度が低いと印刷が粗くなるため、300dpi以上の高解像度のものを用意する必要があります。

イラストレーターのソフトをお持ちでない場合でも、最近では無料で利用できるデザインソフトや、ウェブ上でデザインを作成できるツールを提供する印刷会社も増えていますので、まずは各社のサービス内容を確認してみましょう。

Q. 納期はどれくらいかかる?

小ロットパッケージの納期は、製作会社の混み具合やパッケージの種類、後加工の有無によって変わりますが、一般的には従来の大量生産に比べて大幅に短縮されています。デジタル印刷を用いることで版を作る工程が不要になったため、最短で翌日や数日以内に出荷されるサービスも存在します。

デザインデータが完成し、入稿してから最短で納品されるまでの日数は、多くの製作会社がウェブサイト上で明記していますので、急いでいる場合はそうした情報も参考にするとよいでしょう。

ただし、特殊な形状や加工を施す場合は、通常よりも納期が長くなる傾向にあります。余裕を持ったスケジュールで製作を進めることで、予期せぬトラブルにも対応しやすくなります。

Q. デザインを自分で作れない場合は?

プロに任せる場合、いくつかの選択肢があります。一つは、パッケージデザインを専門とするデザイン会社に依頼する方法です。専門的な知識を持つプロが、商品のコンセプトやターゲット層に合わせて最適なデザインを提案してくれます。

もう一つは、クラウドソーシングサービスを活用する方法です。クラウドソーシングサイトに依頼内容を掲載すれば、フリーランスのデザイナーから多数の提案を集めることができ、予算や好みに応じて柔軟に発注できます。また、一部のパッケージ印刷会社では、デザインサービスを提供していたり、提携しているデザイナーを紹介してくれたりするケースもあります。

ご自身の予算やこだわりに応じて、最適な方法を選択することで、商品の魅力を最大限に引き出すパッケージデザインを実現できるでしょう。

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