ブランディングやリブランディングに活用できる時間・コストには限りがあり、効率的に作業を進める必要があります。フレームワークとは調査・分析を誰もが効率的に行えるようにした考え方のことで、フレームワークを上手く取り入れることによってブランディングがスムーズに進められるでしょう。このページでは、それぞれのフレームワークを分かりやすく解説します。
ここではブランディングやリブランディングに役立つフレームワークについて紹介します。
自社の市場での立ち位置を判断するのに役立つのが「ポジショニングマップ」です。デザイン性・機能性や高級・リーズナブル、多機能・シンプルなど相反する要素を2つ選び、自社がどの位置にいるのかを分析していきます。
たとえば園芸店において高級・リーズナブル、観葉植物・花の2つの要素でポジショニングマップを行った結果、競合他社よりも高級な観葉植物を多く取り揃えていることがわかったとしましょう。
この分析結果と経営方針を踏まえて下記のようなブランディングが行えます。このようなブランディングを行うことで競合他社との差別化が図れ、自社のブランド力を高められるでしょう。
商品・サービスの現状分析を行う方法で、導入期・成長期・成熟期・衰退期の4つに分け、今どの時期にいるのかを分析したうえで戦略を立てていきます。
たとえば売り上げが順調だった老舗の旅館が徐々に利用客が減少し、売り上げが低下している場合は衰退期だと判断でき、これまでとは異なる戦略を打ち出す時期だと分かります。どの段階にいるのかを明確にすることで、ブランディングの方向性なども変わってくるでしょう。
「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の4つを分析することで、企業が抱えている課題などを明確にする方法です。
自社がこれまでに培ってきた強みや価値を分析し、課題・弱みを明確にしていきます。ここでいう機会とは市場における可能性を指し、脅威とは競合他社の台頭や機会の損失の恐れを表しています。このSWOT分析を活用することによって企業内部・外部との課題を整理しやすくなるでしょう。
「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4つを分析することで、外的要素からどのように影響を受けるのかを把握できます。
たとえば「政治によって増税されれば売り上げに影響がある」、「経済によって新幹線開通があれば観光客が増える・流出する」などです。つまりPEST分析をすれば外的要因による影響が明確になり、長期的なリブランディングを検討しやすくなるでしょう。
自社の強みを把握できる方法で、「Competitor(競合)」「Company(自社)」「Customer(顧客)」を表しています。自社だけでなく競合他社の強みや弱みを分析し、顧客のニーズとマッチしている部分をチェックしましょう。3C分析を行うことで、どの点をアピールした方が良いのかも明確となり、ブランディングにも役立ちます。
カスタマージャーニーとは顧客の動向をチェックし、購入検討・購買段階に至るまで様々なタッチポイントに関して包括的に考えたものです。これらを可視化するために表した図を「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。
このマップを用いて顧客の購買までの流れを可視化することで、タッチポイントの変更や顧客インサイトの検討などができるでしょう。顧客の行動や購買心理を客観的に把握でき、顧客の状態を疑似体験できます。そのためブランドのターゲットに応じた検証が可能です。
4つのマスのマトリクスを活用してブランディングを進める方法です。商品/サービスと市場/ユーザーという2つの軸に対し、既存・新規に分けて、トータル4つのマスを作成。どの戦略を選択するかを決定し、今後のリブランディングの実施すべき事柄や方向性などが明確になるでしょう。
たとえば衰退した老舗旅館の場合は下記のようなブランディングが考えられます。
アンゾフの成長マトリクスを活用することで、現状の商品やサービスの弱点が分かりやすくなり、どのようなサービスを取り入れた方がよいか明確になるでしょう。
「具体的な事実・特徴」「機能的な価値」「心理的な価値」「ブランドのパーソナリティ」「ブランドのエッセンス」の5つのステップでブランドの価値を決める方法です。ブランドの扇を用いることで、どのユーザーになにを提供すべきかが明確になり、ブランドのアイデンティティを定めやすくなるでしょう。
たとえば日本では珍しい観葉植物を取り扱っているショップで考えてみます。
ブランドの扇によって5つの視点でブランドを客観的に検証でき、ブランディングのベースを把握しやすくなるでしょう。
ブランディングフレームを活用するのは、少しでもブランディングやリブランディングの効率を図るためです。また客観的な視点でブランディングやリブランディングを行うためにも役立つからでしょう。それにも関わらず適切にフレームワークを活用できなければ、意味がありません。ここではブランディングにフレームワークを活用するうえでの3つのポイントを紹介するので、フレームワークの活用に役立ててください。
ブランディングにフレームワークを活用するのであれば情報共有を適切に行い、同じ目標を目指せる環境構築が大切になります。たとえば、情報共有が上手くできていなければ、ブランディングの担当者・関連チームなどが問題解決のための動きにも影響がでてしまうもの。発信する情報にも一貫性がなくなり、スムーズなブランディングやリブランディングができないでしょう。
そのため、情報共有を密に行い、効率的に目標達成のための行動ができるようにしてください。情報発信に一貫性を持たせられれば、ブランドのイメージの軸ができ、ズレなどを避けられるでしょう。
フレームワークを活用する目的のひとつが、ブランディングに要する時間の短縮でしょう。ブランディングをするにあたって何を考え、何を決定するのかを明確にしやすくなり、無駄な会議・議論などを削減できます。しかしフレームワークを活用しているにも関わらず、ブランディングを進めるのに時間を要してしまえば意味がないでしょう。フレームワークを用いて分析した場合は、すぐに次の段階に進むようにしてください。
ブランディングやリブランディングは客観的な視点で行うことが大切です。しかし自社のみで戦略を練ると、どうしても従来のブランドのイメージに固執しやすく、主観的な意見が入る恐れがあります。フレームワークを取り入れることで、客観的な視点を保ちやすくなり、中立の立ち位置でブランディングの計画を立案できるでしょう。
ブランディングにおいてどのフレームワークを使ったらよいか分からない、適切に分析できているのか不安であれば、ブランディングやリブランディングを専門としている会社に相談するのも一つの方法です。これまでの経験によって適切なフレームワークなどを提案し、さらに高い精度の方法で分析を行ってくれるでしょう。
ブランディングやリブランディングを行うためには、専門的な知識が必要となり、時間・労力も割かなければなりません。効率的に行う方法としてフレームワークを活用することもできますが、フレームワークには複数の種類があり、企業が置かれている状況や分析したい内容などに合わせて、適切な種類を組み合わせる必要があります。自社にブランディングに強いスタッフがいれば自社だけで完結するのも方法のひとつですが、ブランディングやリブランディングを手掛けている企業のサポートを受けるのも一つの方法です。
ブランディングを専門とする企業であれば現状などを専門的に分析してくれるだけでなく、どのような施策を行った方が良いのかもアドバイスしてくれるでしょう。また自社のスタッフの時間・労力を分散できるため、従来の業務に支障をきたしにくいといったメリットもあります。ブランディングを手掛ける企業の活用も検討してみてください。