このページでは、企業のブランディング・リブランディングを考える際にユーザーモデルとなる「ペルソナ」について、基本的な概念やペルソナの具体的な設定方法などをまとめました。ブランディング戦略の根幹を担うペルソナの設定ポイントを把握しておきましょう。
ペルソナとは「仮面」を意味する「Persona」から派生した言葉であり、元々はスイスの精神科医ユングが提唱した心理学用語です。心理学的には人間の内面性や外面性を考える際にペルソナという言葉が使われています。現在ではマーケティング業界やプロモーション業界においても使われており、特に企業にとっては商品やサービスを利用する「ユーザーモデル」を指す用語です。
企業のブランディング・リブランディングの戦略を考える上で、ペルソナの設定は全体の土台となる重要なポイントです。
単に商品やサービスを利用する人々や、販売対象となるユーザーについては「ターゲット」として考えることができます。
しかしターゲット層は商品やサービスを提供すべき対象として幅広く想定されるものであり、特徴的な人格や属性、条件など詳細は設定されません。
一方、ペルソナとはその企業やブランドにとって、特に象徴的なユーザーモデルのこと。商品やサービスを具体的にどのような人へ使ってもらいたいのか考えるうえで不可欠な要素となっています。
ターゲット全体として考えるユーザーの中でも、特に企業として注目すべき条件や設定でイメージされた人物像こそが、それぞれのブランディング・リブランディング戦略における「ペルソナ」と言えるでしょう。
ブランディングやリブランディングの戦略を構築する上で、具体的なペルソナを設定して商品やサービスのコンセプトを明確化することが重要です。
それでは、一体どのような条件や基準で「ペルソナ」を設定すれば良いのでしょうか。
ペルソナとは不特定多数のターゲットと異なり、人物像や取引相手として具体的なイメージを伴う象徴です。そのため商品やサービスによって違いはあるものの、一般的なペルソナの設定条件としては以下のような項目が考えられます。
なお、これは「BtoC(対象が消費者)」の場合です。「BtoB(対象が企業)」の場合は会社としてのペルソナを考えなければなりません。
要するに、ペルソナを設定する際のポイントは「現実に存在するかも知れないユーザー」を具体的にイメージすることが大切になります。ブランディングやリブランディングの戦略では、明確にしたペルソナに合わせて商品やサービスが認知されて購入に至るまでの「ストーリー」を構築していくことが欠かせません。
ペルソナを設定するための流れや手順について基本的な考え方を紹介します。
商品やサービスについてマーケティング調査を実施し、ターゲットとなるユーザー層を分析。性別や年齢、どのような層に注目されているかといった情報を収集します。この際、収集すべき対象となるデータは可能な範囲で最大化しておくことが望ましいでしょう。
ただし、情報量が膨大になって管理できなくなっては本末転倒なので注意してください。
収集されたターゲットのデータから、続けて平均的に共通する項目を抽出します。例えば「女性」に多く選ばれており、特に「20代前半」から注目され、また「関東エリア」で特徴的な消費傾向があるといった具合です。
このような特徴的な情報や共通するデータを抽出して、具体的なユーザーモデルの輪郭を構築していきます。
各種データからペルソナの土台が固まれば、それを「ペルソナの骨格」として想定し、さらに「肉付け」作業としてストーリーを考えます。
ストーリーとは、ペルソナが単なる情報の集合体でなく、ユーザーモデルとして明確な個性や仮想人格を備えるために不可欠な要素です。設定条件に合わせたストーリーが組み合わされて初めてペルソナとして完成に近づけると言えるでしょう。
また、ペルソナのストーリーに対して他のユーザーから共感を得ることができれば、それだけブランディング・リブランディングの効果についても前向きな成果を期待することが可能です。
ペルソナを作成してユーザーモデルをイメージしたとしても、改めてその背景や整合性について検証しなければなりません。
例えば、20代前半の一般的な学歴の女性でありながら、極端な高収入といったユーザーモデルになってしまっている場合、ペルソナとして現実性に欠けると考えられるでしょう。
ペルソナはあくまでも「現実に存在するかも知れないユーザー」です。商品やサービスを提供するモデルとして代表的なシンボルになります。そのため、現実的にあり得ないペルソナや明らかに設定とストーリーが矛盾しているようなペルソナはブランディング・リブランディングの戦略基盤として意味がありません。
ペルソナを検証する際はペルソナの設定・作成に携わった人物だけではなく、第三者視点で客観的な評価を行ってくれる人物に意見を聞くことが大切です。
そして詳細な検証を経て誕生したペルソナは、その商品やサービスを提供するユーザーの代表として様々な面で活躍してくれます。
ペルソナは通常、不特定多数のユーザーの中で特に商品やサービスへ注目していることになります。その会社やブランドに対して特別な感情を抱いている人物。継続的に購入・使用しているユーザーモデルが考えられます。
しかし、ペルソナを設定する際に企業として都合の良い人物像やストーリーを考えてしまっては、プロモーション内容も単なる独りよがりなプランしか考えられません。現実に存在する不特定多数のターゲット層へアピールすることは難しくなるでしょう。
ペルソナは商品やサービスを象徴するユーザーモデルであり、特別な存在であることは事実です。ですがそれはご都合主義的な考え方で設定するのではありません。あくまでも合理的な根拠や理由にもとづいて骨格が形成され、ストーリーによる肉付けが行われていることが前提になります。
ブランディング・リブランディングの戦略を立てる上で、最初にペルソナを設定することは重要です。しかし自社の商品やサービスを積極的にアピールしたいと考えるあまり、偏った設定条件をしてしまったり、都合の良い人物像を構築してしまったりするリスクはあります。
そのため、適正で確度の高いペルソナを設定して、ブランディング・リブランディングの実効性や合理性を保つために、第三者として意見を述べてくれる専門家に相談することも有効な手段です。
当サイトではパッケージデザインのブランディング・リブランディングについて多角的な情報をまとめています。ペルソナ設定についても、ぜひ参考にしてください。