和風のパッケージデザインは、商品の魅力や価値を伝えるためにとても大切な要素です。この記事では、商品のパッケージを和風デザインに変えたいと考えている方へ、その基礎知識から具体的なテクニックまでを詳しくご紹介します。
和風のデザインは、見た目の美しさだけでなく、商品の持つストーリーや品質を伝える重要な役割を持っています。和風デザインがお客様にどのような影響をもたらすのかを見ていきましょう。
和風のデザインは、お客様にポジティブなイメージを届けられます。例えば、「高品質」や「伝統」といった印象を与えられるでしょう。日本の職人技や歴史を感じさせることで、商品への安心感や信頼感を深める効果があります。
近年、海外からの観光客(インバウンド)が増えたり、日本企業が世界へ商品を売り出す機会が増えたりしています。そうした場面で「日本らしさ」をパッケージデザインで表現することは、大きなアピールポイントになるでしょう。
海外市場においては、日本ならではの美意識や文化が詰まったパッケージは、競合商品との差別化に直結します。商品を手に取ってもらうきっかけを作るうえで、和風デザインは有効な手段といえるでしょう。
和風デザインならではの魅力を形作る要素は、主に「色」「柄・モチーフ」「素材」「書体」の4つが挙げられます。
これらの要素を適切に組み合わせることで、商品のイメージに合った本格的な和風デザインが実現できます。それぞれの要素が持つ意味や、表現できる世界観を知ることがデザインの第一歩となるでしょう。
「和風らしさ」を表現するには、伝統的な色や柄、そして書体を上手に使う必要があります。ここでは、具体的なデザイン要素と、それを生かすためのテクニックを解説していきます。
色選びは、パッケージの印象を左右する大切なポイントです。日本の伝統的な色を知り、その持つ意味を理解することで、より深みのある和風デザインを作り上げられます。
日本の伝統的な色には、それぞれ特別な意味や歴史が込められています。例えば、「朱色」は魔除けや生命力を表す色として神社やお祭りで使われます。また、「藍色」は落ち着きと知性を感じさせ、深みのある濃い青色が、信頼感や高級感を演出するのに役立つでしょう。
また「墨色」は、黒に近い色でありながらも、単なる黒ではなく深みのある趣を表現できます。そして、天然素材の色に近い「生成り色」は、優しさや素朴さ、そして自然の恵みを連想させる色です。
これらの伝統色を効果的に使うことで、商品の持つ格式や品質を伝えることができるでしょう。
和風パッケージの色使いでは、カラフルな色を多く使うよりも、同系色やトーン違いの落ち着いた色を組み合わせる傾向があります。
例えば、濃淡の異なる藍色を組み合わせることで、洗練された奥行きのあるデザインが作れます。あるいは、生成り色をベースに、アクセントとして朱色や抹茶色などの伝統色を加える方法もあるでしょう。
色の数を絞り、余白を活かしたデザインにすることで、上品で洗練された「和」の美しさを表現することができます。色の調和を大切にすることが、和風デザインを成功させるうえでの鍵となるでしょう。
パッケージに伝統的な柄やモチーフを取り入れることで、デザインに豊かな物語を加えることができます。
日本の伝統文様には、人々の願いや縁起の良い意味が込められています。
例えば、「青海波(せいがいは)」は、無限に広がる波の模様で、未来永劫(えいごう)の幸せや、平和な暮らしへの願いを表現。「麻の葉(あさのは)」は、成長が早い麻にあやかり、子どもの健やかな成長を願う柄として使われてきました。「七宝(しっぽう)」は、円を重ねて繋げた文様で、人と人との繋がりや、財産や子孫の繁栄を表しています。
これらの伝統文様をパッケージの一部にさりげなく使用することで、商品におめでたい意味や物語性をプラスできます。
日本の自然や四季のモチーフも、和風パッケージでは多用されます。
「桜」は、美しさとともに儚さや新しい始まりを象徴するモチーフです。また、「紅葉」は豊かさや彩りを表し、秋の味覚や季節限定の商品にぴったりでしょう。「竹」はまっすぐ伸びる姿から成長や生命力、そして「富士山」は日本一の象徴として縁起が良いとされています。
これらのモチーフを使う際は、イラストや写真でリアルに表現するだけでなく、抽象的なデザインとして取り入れると、よりモダンで洗練された印象を与えることができるでしょう。季節感を意識してモチーフを選び、商品との関連性を深めることが大切です。
パッケージに書かれた文字は、デザインの一部として重要な要素となります。書体やレイアウトによって、パッケージが持つ印象は大きく変わるでしょう。
和風パッケージに合う書体として、「明朝体」や「筆文字」がよく使われます。
「明朝体」は、縦線が太く横線が細い、繊細で洗練された印象を与える書体です。和菓子や化粧品など、上品さや格式を伝えたい商品に向いています。
一方、「筆文字」は、墨で書いたような力強さや伝統的な雰囲気を表現できます。日本酒や漬物など、本格派のイメージを強調したい商品と相性がよいでしょう。
商品のコンセプトに合わせて、それぞれの書体が持つ印象を理解し、適切に選択することが求められます。
パッケージの「素材」や「加工」は、お客様が手に取ったときの感触や見た目を大きく左右します。これらは商品の高級感や特別感を演出するのに欠かせない要素です。
和紙、木材、布などの自然素材は、温もりや優しい印象を与えます。特に「和紙」は、その独特の質感や風合いが、日本らしさを表現するのに優れている素材です。「木材」のパッケージは、素朴な高級感や自然派のイメージを作り出すでしょう。
また、「加工」にも工夫を凝らすことで、パッケージの質感を高めることができます。箔押しは、金や銀の箔を押し付けて文字や柄を表現する加工技術で、華やかさや高級感を出すのに最適。エンボス加工はデザインを浮き上がらせる加工で、立体的な手触りによって特別感を感じさせられます。
素材と加工の組み合わせによって、商品の持つ価値を最大限に引き上げられるでしょう。
ここでは和風パッケージデザインで失敗しないための、注意すべきポイントを解説していきます。
和風パッケージデザインは、大きく3つのタイプに分けられます。
このタイプは、歴史の長さや高い格式を重視したい商品に向いています。老舗の和菓子や高級な伝統工芸品などがその例です。デザインには、伝統的な文様や書体を使い、落ち着いた色合いで重厚感を出すことが多いでしょう。
本物志向のお客様や、贈答品として購入されることを想定している場合に適しているでしょう。
伝統的な要素を取り入れながらも、現代的でシンプルな美しさを追求したデザインです。若い世代や、海外の感性に響かせたい日本酒やコスメなどがこの例に当てはまります。
余白を多く取り、線の細い書体や抽象化されたモチーフを使うことが特徴です。伝統と新しさが融合した、洗練された印象を与えることができるでしょう。
親しみやすさや可愛らしさを重視し、明るい色やユーモアを取り入れたデザインです。お土産品や雑貨、カジュアルな食品などに適しています。
日本の文化をデフォルメしたモチーフや、手書き風の書体を使うことで、気軽に手に取れる雰囲気を作り出せるでしょう。外国人観光客や若年層をターゲットにする場合に効果的です。
和風パッケージデザインを成功させるためには、避けるべき落とし穴もあります。デザインをする前に、次の点に注意しましょう。
「和風」のデザインが、必ずしも「日本らしさ」として海外のお客様に伝わるとは限りません。例えば、海外の方がイメージする「NINJA」や「SAMURAI」といったステレオタイプな表現は、日本の文化を知っている方から見ると違和感がある場合もあります。ターゲットとなる国や地域の文化的な背景や、日本へのイメージを事前に調べることが大切です。
また、パッケージデザインは、商品の味や機能といった中身と一貫性があることが重要です。商品とのイメージがかけ離れていると、お客様の期待を裏切ることになり、信頼を損なう可能性があるでしょう。
商品のコンセプトやターゲット層からブレることなく、一貫した世界観を守り抜くことが成功への近道です。
和風パッケージデザインは、単に見た目を良くするだけでなく、商品の価値やメッセージを深く伝えるための強力なツールです。伝統的な色や柄が持つ意味を知り、商品のコンセプトに合わせて書体や素材を選ぶことで、ターゲットのお客様に響くデザインが作れます。
デザインの方向性を「伝統的」「モダン」「カジュアル」の3つのタイプから選び、失敗を避けるための注意点も意識しましょう。和風パッケージデザインを成功させることで、国際的なビジネスの成功にも繋げられるでしょう。
しかし、自社のもつスキルや知識が蓄積されておらず、なかなか理想のデザインに仕上げるのが難しい場合もあるでしょう。このような場合には、プロであるパッケージデザイン会社への依頼も一つの手段です。
当サイトでは頼れるパッケージデザイン会社について、情報をまとめていますので、理想の和風パッケージデザインを作り上げるためにも参考にしてみてください。