ブランディング戦略におけるパッケージデザインとは? パッケージデザイン総合解説
パッケージデザイン会社の選び方 » ブランディング戦略におけるパッケージデザインコラム » パッケージデザインを考える前に
知っておきたいサイズの考え方

パッケージデザインを考える前に
知っておきたいサイズの考え方

パッケージサイズの基本

パッケージサイズは、商品価値を左右する重要な要素です。

適切なサイズを選ぶことで輸送時のコスト削減や陳列効率の向上、開封時の使い勝手改善など、多くのメリットを得られます。また、消費者にとっても手に取りやすく、内容物のイメージを正確に伝えることで購買意欲を高める役割を果たします。

既製サイズと自由サイズの違い

印刷通販サービスやパッケージメーカーでは、あらかじめ用意された既製サイズテンプレートを利用する方法と、寸法を自由に指定できるカスタムオーダーの二つの選択肢があります。

既製サイズは木型代が不要でテンプレートをそのまま利用できるためコストが抑えられ、短納期で発注が可能です。一方、自由サイズは商品の形状や量に応じて細かく寸法を指定でき、他社と差異化を図りたい場合や特殊形状の商品にも対応できます。

既製と自由の違いを把握し、コストとデザイン要件のバランスを考慮して選択することが重要です。

既製サイズと自由サイズのメリット・デメリット

既製サイズは短期間でコストを抑えて大量生産がしやすく、スタートアップやテストマーケティングに向いています。しかし、テンプレート外の寸法には対応できず、商品に対して過剰包装や隙間が生じやすい点がデメリットです。

一方、自由サイズは展開図(テンプレート)を無料で作成でき、商品にぴったり合う設計が可能なため、無駄な包装材を削減できます。ただし、木型や型代が別途発生する場合があり、少量ロットではコスト高になることがあります。用途やロット数に応じてどちらが適切か検討することが大切です。

サイズ決定のステップ

商品寸法の正確な測定方法

パッケージサイズを決定する際は、まず商品そのものの寸法を正確に把握することが欠かせません。箱の内側の寸法(内寸)を基本とし、素材の歪みや凹みが生じないように定規やノギスで測定します。

段ボールでは厚みによる誤差に注意し、内側から内側までを測ることが大切です。プラスチック素材の場合は寸法が変化しにくい反面、ミスがあると商品が入らないトラブルが発生しやすいため、複数回計測して平均値を用いるのがおすすめです。正確な測定は作り直しによるコストと時間のロスを防ぎます。

適切なバッファの取り方

商品寸法が把握できたら、製造誤差や梱包時のズレを考慮してバッファ(余裕)を設けます。一般には、商品の縦・横・高さそれぞれに対して5~10ミリメートル程度の余裕を見込むことで、商品とパッケージの干渉を防げます。

特に段ボール素材では圧力によるたわみが生じることがあるため、余裕を多めに取る場合もあります。依頼先の業者が一定の余裕を想定してくれることもありますが、自身で正確にバッファを設定できると、発注時のコミュニケーションもスムーズになります。

輸送・陳列・開封を考慮したサイズ選定

パッケージは単に商品を包むだけではなく、輸送・保管・展示・開封までの一連の流れにおいて機能を発揮する必要があります。

JIS規格では「梱包」は輸送を目的とする包装と定義され、内容物の保護や輸送運搬の利便性、情報伝達を三大機能としています。さらに、陳列棚の寸法にも注目すべきです。スーパーマーケットなどで多く使われるゴンドラ什器では、幅が90センチメートル(3尺)や120センチメートル(4尺)が一般的で、奥行きは45センチメートルと60センチメートルが主流です。

商品の開封性を高めるためには、開封口の位置と向きを最適化し、消費者が無理なく取り出せる設計を心がけます。これらを総合的に考慮してサイズを決めることで、物流効率と消費者体験を両立できます。

パッケージ形状とサイズの関係

主要なパッケージ形状の特徴

パッケージ印刷サービスでは、代表的な10種類の形状が一般的に案内されています。

キャラメル箱は上下差し込み式のシンプルな構造で組立が容易ですが、底の強度はやや弱めです。地獄底箱は四方から底を組み立てるため強度に優れ、重量物にも耐えられます。

ワンタッチ底箱は底部分の自動組立機能により非常に簡単かつ強度が高く、作業効率も良好です。N式箱は糊貼り不要でギフト箱としても利用され、ピローケースは曲線的な形状でエレガントな印象を与えます。

それぞれの形状は展開図の面積が異なるため、同じ外寸でも使用面積や必要な材料量が変化します。

形状ごとのサイズ選定のポイント

形状によって適用できるサイズ範囲や推奨する寸法が異なります。

重量ある内容物を扱う場合は、底面の強度が高いワンタッチ底や地獄底を選択し、底板の幅や高さに対して十分なバッファを確保します。ギフト用途や高級感重視の場合はN式箱やスリーブ箱を使い、外寸に対して適切なクリアランスを設けることで、パッケージと中身のずれを防ぎつつ高級感を演出できます。

さらに、ディスプレイ用途では展開図からPOPを切り取り可能な形状を選び、全面表示スペースを最大化して商品アピールを行います。形状の特性を理解したうえで適切なサイズ範囲を設定することが成功の鍵となります。

デザインとサイズの調和

サイズ変更時のデザイン調整

パッケージサイズを変更するときは、単に展開図の寸法を伸縮するだけでなく、デザイン要素の再配置が必要となります。CanvaやPacdoraなどでは、テンプレートを読み込むとラベルや展開図の長さ・幅・高さを自由に調整でき、素材の厚さ変更も可能です。

さらに、Illustrator上でのツールなどを用いれば、サイズ入力だけで自動的に展開図が作成され、アートワークの解像度やマージン、ブリード(塗り足し)を保ったままサイズ変更も可能です。変更後には必ず仕上がりイメージを確認し、ロゴやテキストの位置が断裁線の内側に収まるかをチェックすることで、品質を維持しつつスムーズに設計を進めることができます。

視認性と情報配置の最適化

パッケージデザインでは、消費者の視線誘導を意識した情報配置が売上に直結します。

デザインにおける視線誘導の4原則として、グーテンベルク・ダイヤグラムやZ型、F型レイアウトを活用し、重要情報を自然な視線の流れに沿って配置します。パッケージ表面では、中央にブランドロゴ、左上に商品名、右下に商品説明というように、ヒエラルキーを明確にすると、消費者が過不足なく情報を取得できるようになります。

さらに、カラーコントラストを利用して視線を集めたい領域を強調し、背景とのコントラスト比を保つことで、遠目からでも認識しやすいパッケージを実現できます。

法令遵守とサイズ表示

関連法規と表示義務

パッケージを製作する際には、複数の法令に基づいた表示義務を遵守しなければなりません。

食品包装では名称・原材料・添加物、内容量、消費期限・賞味期限、保存方法、製造者氏名・所在地、遺伝子組換え情報、アレルギー物質表示などが義務付けられています。

医薬品や化粧品では薬事法、健康食品には健康増進法、農産物にはJAS法といった各法律が適用され、容器包装リサイクル法では識別表示が必須です。

これらの規制を事前に確認し、必要な情報を適切なサイズとフォントで配置することが、安全かつ法令に適合したパッケージデザインの第一歩です。

サイズに関する法的な注意点

近年は過大包装を防止するための基準が自治体ごとに定められており、商品の内容量に対して必要以上に大きなパッケージを使用すると規制対象となる場合があります。

過大包装基準では、パッケージの空間率(内容物が占める体積比)に上限が設けられており、実際の内容量とのバランスを考えたサイズ設計が求められます。

特にECサイト向けには輸送時のスペース効率が重要視されるため、包装材や緩衝材のボリューム削減を図りつつ、過大包装基準をクリアするデザインを心がけることが必要です。

自社対応が難しい場合は専門会社への相談も視野に

ここまで解説してきたパッケージサイズ設計は、設計・測定・法令対応・デザインと多くの専門的な要素が関わります。もし社内での対応が難しい場合や、初めてパッケージを制作する場合には、パッケージデザインの専門会社に相談するのもひとつの選択肢です。

プロの知見を活用することで、商品特性や販売チャネルに最適化されたサイズ提案や法令チェック、訴求力あるデザイン調整まで一貫して支援を受けることができます。社内の工数削減と品質担保を両立したい場合は、外部の専門パートナーとの連携も積極的に検討してみてください。

商品の種類で探す!
パッケージデザイン制作会社3選はコチラ

ブランディング戦略におけるパッケージデザインとは? パッケージデザイン総合解説
[特集]老舗企業を輝かせるリブランディング