このページでは、ブランディング・リブランディングに取り組んだ後の効果測定について、必要性や方法をまとめています。抽象的な概念に対するアプローチだからこそ難しい、ブランディング・リブランディングの効果測定の基本を把握しておきましょう。
効果測定とは、文字通りその取り組みやプロジェクトによってどのような効果を得られたのか、客観的に検証してチェックする作業のことです。
企業の経営戦略として、認知度の向上や顧客からのイメージアップを目指してブランディング・リブランディングに取り組むことは大切です。効果測定によってブランディング・リブランディングで上げた成果を把握することも大切になってきます。
しかし、ブランディング・リブランディングは顧客からの企業に対する印象や、ブランドとしての知名度といった概念的なテーマにアプローチする経営戦略やビジネス手法です。具体的に成果や効果をチェックすることは容易でありません。
そのため、ブランディング・リブランディングの効果測定では、それらの取り組みによって顧客の抱くブランドイメージがどのように変化しているのか、抽象的・概念的な顧客の内面を客観的かつ明確に視覚化していくことが必要になります。
KPIとは「重要業績評価指標:Key Performance Indicator」の略称であり、プロジェクトや業務を実行する前に設定する具体的な達成目標です。
KPIを設定する上で重要な点は、抽象的な目標や漠然とした目的を掲げるのではありません。明確かつ実現可能と思われる数値を、適切な根拠にもとづいて設定。数値を目的達成の指標とします。
ブランディング・リブランディングの効果測定を考える際は、まず取り組みによってどのような変化が顧客に現れるか予想します。商品やサービスにどのような変化が生じたのかが分かる数値をKPIとして設定。ブランディング・リブランディングの施策が済んだ後、改めてKPIが達成できたのかを確認します。
ここでは、ブランディング・リブランディングの効果測定する際に、KPIとして考えられる指標をピックアップするための考え方や検証方法、また指標を設定する際のポイントなどを代表的なものを例にして紹介していますので参考にしてください。
NPS(Net Promoter Score)とは、簡単に言えば「その商品やサービスを他の人へ紹介したり、おすすめしたりしたいか?」という顧客の気持ちを検証するためのKPIです。
NPSを測定する方法としては、アンケート調査があります。
商品やサービスを購入したユーザーを対象として、自社を知人や友人へ紹介したいと思うのか、10段階で評価してもらうようユーザーに尋ねます。そして以下のような結果でユーザーを分類することがポイントです。
そして、アンケート全体の結果を参照し、それぞれの割合を算出してください。その上で、以下の計算を行います。
NPSのポイントは中立者を排除して、あくまでも推奨者と批判者の割合を比較することです。また、ブランディング・リブランディングを実施する前と後でNPSを比べましょう。
ブランディング・リブランディングの前後でNPSがどれくらい上昇するのか、具体的にKPIとして設定しておき、改めて実際の数値と比較すれば効果測定を行えます。
DWB(Definitely Would Buy)とは、商品やサービスについて「購入したいかどうか」をチェックする指標です。そしてDWBを測定する方法としてもアンケートが有効です。
DWBをチェックする際は、ユーザーに対して例えば5段階評価で以下のような質問をします。
そして全体の調査数からそれぞれの結果で割合を算出して商品・サービスに対する顧客のイメージを分析します。
ブランディング・リブランディングの効果測定としてKPIを設定する場合、取り組みの前後で「とても買いたい」の割合がどの程度変化するのかといった数値を明確化してください。
新規接触率とは文字通り「商品やサービスに新しく接触した(知った)人の割合」を意味します。
例えば商品の購入者に関して「リピート購入者」と「新規購入者」の割合をそれぞれ算出し、全体的にどう変化するかKPIを数値として設定することで、ブランディング・リブランディングの効果測定を客観的に行えます。
また、新規接触率はターゲットにするメディアや宣伝方法などに合わせて、以下のような計算式で求めることも可能です。
UUは「ユニークユーザー:Unique User」の略であり、そのWebサイトやメディアへアクセスした人を指しています。つまり、対象とするメディアに関して、全ての訪問者に対して新しくアクセスした訪問者の割合が新規接触率となります。
ブランディング・リブランディングで新規接触率が増加すれば、より広い範囲へ認知度を向上できたと考えることができるでしょう。
トラフィック数とは、ターゲットとなるWebサイトへのアクセス数です。新規接触率では閲覧・訪問したユーザーの数にもとづいて検証します。トラフィック数では既存ユーザーか新規ユーザーか、あるいは同じユーザーによる複数回のアクセスなのかを区別しません。ひとまず一定期間内の全アクセス数をカウントします。
また特にネット検索でWebサイトを発見した人ではなく、URLを直接入力したりQRコードなどで直接にサイトへアクセスしたりしたユーザー数を「ダイレクトトラフィック」として区別します。
ダイレクトトラフィックが上昇した場合、Webサイトの認知度や商品やサービスに対して興味を持った人が増加したと考えられるでしょう。
SNSなどで自社の名前や商品・サービス名などを検索して、どのような投稿や反応がユーザーから発信されているのかチェックすることです。
定期的にエゴサーチを行い、例えば自社について言及しているユーザーの人数の変化や、一定期間中にどの程度のユーザーが自社について言及しているのかといった数字を検証。KPIと照らし合わせます。
ブランディング・リブランディングの効果測定では、単に取り組みの前後で売上だけを比較して検証できるものではなく、ユーザーの感じ方や印象など概念的なテーマにアプローチしなければなりません。
そのため、ユーザーのイメージやブランドへの印象の変化について数値化する方法を理解したうえで、KPIを設定しましょう。実際にブランディング・リブランディングによってどの程度までKPIを達成できたのか施策の前と後で比較することが大切です。
ブランディング・リブランディングは事業戦略として重要ですが、具体的にどのような効果が得られたのか検証しなければ、ブランディング・リブランディングの手法が適正なのか確かめることもできません。
ブランディング・リブランディングの効果測定は、概念的・抽象的なユーザーの考えや気持ちを数値化して比較することが鍵となります。まずはそれぞれの方法を理解した上で定期的にチェックすることを習慣化していきましょう。