「エモい」という言葉が一般的になった昨今、パッケージデザインにおいても“エモい”要素が注目を集めています。「エモいパッケージデザイン」の特徴や事例、その背後にあるマーケティングの考え方などを解説します。
もともと「エモい」という言葉は、英語の“emotional”から派生した日本語のスラングです。英語圏でも「emo」という略語は音楽シーンなどで“感傷的”や“感情に訴えかける”意味合いで使われることがあり、それが転じて日本の若者を中心に「エモい」という表現が広まりました。
“エモい”は、単に「かわいい」「かっこいい」とは異なり、どこかノスタルジックで感情を動かされる、思い出を呼び起こすような情緒的なニュアンスを伴うことが多いのが特徴です。インテリアや写真、音楽、ファッションなど、幅広い領域で「エモい」と評されるものがあります。
パッケージデザインに“エモい”要素が求められる場合、それは購入者が視覚的なインパクトを受けるだけでなく、下記のような特徴が挙げられます。
特にノスタルジックな配色やイラスト、あえてレトロな印刷技法を使ったり、あるいは写真映えする幻想的な要素を取り入れたりすることで、「エモい!」と感じる人が多くなるわけです。
こうしたデザインは、若年層を中心にSNSで拡散されやすいというメリットもあります。最近では「#エモい」「#エモパケ」などのハッシュタグとともに写真が拡散されるケースが珍しくありません。
インスタグラムやTikTokなどのSNSが台頭するなか、商品パッケージは“写真映え”するかどうかが大きな購買意欲を左右するようになりました。中でも「エモい」パッケージは、ただの派手さやかわいさだけでなく、感情に直接訴えかける独自の魅力があります。
投稿された写真が共感や感動を呼び起こすと、それが瞬く間に拡散され、結果的に商品やブランドの知名度を上げる効果が生まれます。企業にとってはSNSで自然に拡散されるマーケティング効果は非常に大きく、エモいデザインを採用する理由の一つになっているのです。
近年、“エモい”に対するニーズの高まりと合わせて、「エモ消費」という消費行動の概念が注目されています。機能的価値やコスパだけでなく、「その商品を買うとき・使うときにどんな感情が得られるか」に重きを置く購買行動です。
たとえば、家族や友人との思い出が重なるレトロなパッケージや、サステナブルや社会貢献につながる背景ストーリーを持つデザインなど、共感と情緒を誘うパッケージが好まれる傾向にあります。
そのため、エモいパッケージデザインは単なる流行ではなく、感情的価値を求める消費者の増加によって、今後もますます需要が高まると予想されます。
エモい演出の王道の一つが、「どこか懐かしさを感じさせるビジュアル」です。淡い色合いやセピア調、手書き風イラストなどが代表的な表現手法となります。
「なぜこのパッケージなのか?」を感じさせるストーリー性があると、消費者は一層エモーショナルな反応を示します。たとえば、
などの工夫が考えられます。日清食品のカップヌードル「カプヌのエモい出パッケージ」は、まさにこうしたエピソードや感情をデザインに落とし込む事例と言えるでしょう。
パッケージは見た目だけでなく、開封する瞬間の体験も重要です。開けるときにイラストが展開したり、ふわっと香りが立ち上がったりといったサプライズ要素を含めると、「こんなところまでこだわっているなんて!」という感動を誘いやすくなります。
こうした仕掛けは、SNS投稿をさらに後押しする要素にもなり得ます。
近年、環境配慮やサステナブルを意識した素材選定も注目されています。再生紙や生分解性のある包装材料などを使い、パッケージデザインに「自然の風合い」や「地球に優しいイメージ」を織り込むと、ストーリー全体に温かみが加わります。
このように、地球に配慮する姿勢がデザインにも表れると、消費者の共感はさらに高まるでしょう。
エモいパッケージデザインは、単なるデザインの流行ではなく、消費者が商品に心を寄せる要因として今後ますます存在感を増していきます。なぜなら、モノや情報があふれる現代では、“価格”や“機能”に大差がつかないことも多いため、最後の決め手になるのは「共感できるかどうか」に移行しつつあるからです。
その共感を引き出すために、「懐かしさ」「物語」「開封体験」「サステナブル」というキーワードが多面的に絡み合うのが“エモい”と呼ばれるデザインの要所とも言えるでしょう。もしこれからパッケージを設計するのであれば、
を事前にしっかりと分析し、デザインに落とし込んでみてください。エモいパッケージを通じて、消費者の心を動かす体験を生み出し、SNSで自然と拡散されるような商品づくりが実現できるでしょう。
エモさを意識したパッケージデザインを行うにしても、自社の力だけはスキルやノウハウが無くて、実現が難しいと感じることもあるでしょう。その場合には、パッケージデザインに特化したプロへの相談がおすすめです。
これまでの経験や知識をもとにエモいパッケージデザインをサポートしてくれます。このサイトではパッケージデザインを行っている会社の紹介や、商品別におすすめの会社を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。