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ペットフードのパッケージデザインに求められる機能とデザインの工夫

ペットフードのパッケージは、店頭で「かわいい」「目を引く」という印象だけで選ばれるものだと思われがちです。しかし実際には、人間用の食品パッケージとは異なる複数の制約と機能を同時に満たす必要がある、専門性の高い分野です。

購入を決めるのは飼い主であっても、実際に中身を口にするのはペットであるという「購入者と使用者が分かれる」商材である点、開封後の保存性や誤飲・誤食への配慮など、通常の食品パッケージとは異なる視点での設計が求められます。

この記事では、ペットフードのパッケージデザインに求められる機能面の工夫と、表示義務・公正競争規約とのバランスの取り方、発注前に整理しておきたいチェックポイントを解説します。

ペットフードのパッケージデザインが「かわいさ」だけでは選ばれない理由

ペットフードのパッケージデザインは、棚に並んだ際の第一印象を左右する重要な要素です。しかし、デザイン性だけを追求すると、実務面でいくつかの課題が生じます。

まず、購入を判断するのは飼い主ですが、実際に食べるのはペットであるため、パッケージには「飼い主に選んでもらうための訴求力」と「中身のフードの品質を最後までしっかり保つ機能」の両方が求められます。見た目の印象だけでなく、内容量・給与方法・原材料といった情報を、購入前にきちんと伝えられる設計になっているかが問われます。

さらに見落とされがちなのが、人間用の食品パッケージとの誤認・誤飲リスクです。カラフルでポップなデザインは訴求力を高める一方、スナック菓子や調味料のパッケージと似た印象を与えすぎると、小さな子どもが誤って口にしてしまう事故につながりかねません。ペットフードであることが一目で分かる表示や配色、注意喚起の配置は、デザイン性と同じかそれ以上に重要な検討事項です。

まず押さえておきたい表示義務

ペットフードのパッケージデザインを考えるうえで、最初に押さえておくべきなのが法律で定められた表示義務です。ペットフードには「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(平成20年法律第83号、通称:ペットフード安全法)が適用されます。平成20年6月18日に公布され、平成21年6月1日に施行された法律です。

この法律に基づき、ペットフードのパッケージには次の5項目の表示が義務付けられています。

  • 名称
  • 原材料名
  • 賞味期限
  • 原産国名
  • 事業者の氏名及び住所

表示基準に適合しない飼料の販売等は同法第6条により禁止されており、これに違反した場合は同法第18条により1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、又はその両方が科される可能性があるとされています。法人がこれに違反した場合は、両罰規定(第20条)により法人に対して1億円以下の罰金が科されうるとされています。デザインの自由度を検討する前に、まずこの5項目分のスペースをパッケージのどこに、どのくらいの文字サイズで確保するかを固めておく必要があります。

あわせて押さえておきたいのが、ペットフード公正取引協議会が定める公正競争規約に基づく表示項目です。こちらは法律上の義務ではなく業界の自主基準にあたりますが、実務上は多くの製品で採用されています。

  • 成分(保証成分値など)
  • 目的(総合栄養食・一般食・療法食などの区分)
  • 内容量
  • 給与方法

「法律で義務付けられた5項目」と「業界の公正競争規約に基づく推奨4項目」は、性質が異なる情報です。パッケージ設計の初期段階で、この2つを混同せずに整理しておくことが、後々の修正リスクを減らすポイントになります。

フードの形状で変わるパッケージに求められる機能

ペットフードは、ドライフード・セミモイストフード・ウェットフードのように水分量の異なる形状で流通しており、それぞれ求められるパッケージの機能が異なります。

ドライフード

粒状で水分量が10%程度以下と少ないドライフードは、酸化や湿気による品質劣化が主な課題です。長期保存を前提とすることが多いため、防湿性・遮光性・気密性を備えた袋材の選定が重要になります。また、大容量パッケージでは開封後の保存性を保つため、チャック付きの再封機能を持たせる設計も広く採用されています。

セミモイストフード

半生タイプのセミモイストフードは、水分量がおおむね20〜40%程度とドライフードよりも水分を含むため、乾燥・変質を防ぐ密封性がより重要になります。個包装のパウチ形態を採用するケースも多く、1回分ずつ衛生的に取り出せる設計が求められます。パウチ包装特有の特長については、関連記事でも詳しく紹介しています。

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ウェットフード(缶詰・レトルトパウチ)

水分量がおおむね40%を超えるウェットフードは、缶詰やレトルトパウチの形態で流通することが一般的です。長期常温保存に対応するため気密性・遮光性に加え、輸送・陳列時に外部からの衝撃で破損しない耐突刺性・耐圧性も欠かせません。レトルトパウチの機能面の工夫や缶詰形態の特徴についても、関連記事であわせて参考にしてみてください。

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形状によって求められる防湿性・気密性の水準は異なるため、企画段階で「どの形状で、どの程度の保存期間を想定するか」を先に固めておくと、素材選定やパッケージ設計がスムーズに進みます。

犬・猫、年齢や用途で変わるターゲティングとデザインの工夫

ペットフードは、対象となる動物種・年齢・用途によって求められる情報や訴求ポイントが変わります。

犬用と猫用では、パッケージに使用するモチーフや配色の傾向が異なるほか、子犬・子猫向け、成犬・成猫向け、シニア向けといったライフステージ別の商品では、対象年齢が一目で分かる表示が欠かせません。体重管理用やアレルギー対応、療法食といった機能別の商品では、通常食との違いを誤認なく伝えるデザイン上の工夫(配色を明確に分ける、注意書きの視認性を高めるなど)が求められます。

また、飼い主の年齢層によっては、文字サイズや情報の優先順位づけへの配慮も必要です。特にシニア犬・シニア猫向けの商品は、シニア世代の飼い主が手に取るケースも多いため、必須表示事項が小さくなりすぎないバランス調整が重要になります。

表示義務を守りながらデザインの自由度を確保する考え方

法律で定められた5項目の表示スペースを確保しながら、ブランドとしての世界観も伝えたいというのは、ペットフードパッケージ設計における共通の悩みです。

実務上は、パッケージ面を「必須表示エリア」と「訴求デザインエリア」に分けて設計する考え方が広く採られています。表示義務のある項目は視認性を優先したレイアウトで固定し、それ以外のスペースでブランドロゴやビジュアル、キャッチコピーによる差別化を図る、という役割分担です。食品表示全般のレイアウトの考え方についても、関連記事であわせて確認しておくと整理しやすくなります。

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あわせて注意したいのが、キャッチコピーや訴求表現です。「安心」「安全」といった言葉を断定的に使う表現や、効果・効能を保証するかのような表現は、景品表示法など関連法規との関係で慎重な判断が必要になります。表示義務を満たすことと、パッケージ上の訴求表現の適切さは別の論点として、それぞれ確認しておく必要があります。

発注前に整理しておきたいチェックポイント

ペットフードのパッケージデザインをパッケージデザイン会社に依頼する前に、社内で整理しておきたいポイントを挙げます。

  • 想定するフード形状(ドライ/セミモイスト/ウェット)と、それぞれに必要な保存性・気密性の水準
  • 対象となる動物種・年齢・用途(体重管理、アレルギー対応、療法食など)
  • 法律で義務付けられた5項目(名称・原材料名・賞味期限・原産国名・事業者の氏名及び住所)の表示スペース
  • 公正競争規約に基づく推奨表示(成分・目的・内容量・給与方法)を採用するかどうかの方針
  • 人間用食品との誤認・誤飲を防ぐための配色・表示上の工夫
  • 想定する素材・印刷方式と、そこにかけられるコストのバランス

これらをあらかじめ整理したうえで相談すると、パッケージデザイン会社とのやり取りがスムーズになり、表示義務への対応漏れや、完成後の大幅な作り直しといったリスクを減らすことにつながります。ペットフード特有の規制や機能要件への理解があるかどうかも、依頼先を選ぶ際の確認ポイントの一つです。

特にOEM・PBとして新規にペットフード市場へ参入する場合は、既存の食品パッケージ制作の感覚だけでは判断しづらい部分が出てきます。フード形状ごとの機能要件と表示義務を同時に満たす設計に慣れているか、過去にペットフード分野での制作実績があるかを事前に確認しておくと、初回の企画段階でのすり合わせがスムーズになります。

まとめ

ペットフードのパッケージデザインは、見た目の訴求力だけでなく、フード形状ごとの機能要件、対象動物・年齢・用途に応じたターゲティング、そして法律・業界規約に基づく表示義務という複数の要素を同時に満たす必要がある分野です。特に、ペットフード安全法が定める5項目の表示義務と、公正競争規約に基づく推奨表示は性質が異なるため、企画の初期段階で切り分けて整理しておくことが、後戻りのないデザイン設計につながります。

パウチ包装やレトルト・缶詰といった形状ごとの特徴、食品表示のレイアウトの考え方については、それぞれ関連記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。

実際にペットフードのパッケージデザインを依頼する際は、食品パッケージ全般の実績があり、表示義務にも精通したパッケージデザイン会社を比較検討することが近道です。以下では、食品分野の実績を持つ会社を紹介していますので、あわせてご覧ください。

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