ブランディング戦略におけるパッケージデザインとは? パッケージデザイン総合解説
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化粧品パッケージデザインで気をつけたい薬機法の表示ルール

化粧品の新商品発売やパッケージリニューアルが決まると、まずデザインの方向性やコンセプトから検討を始める企業が多いのではないでしょうか。しかし、化粧品のパッケージはデザインが固まった後の段階で、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の確認が入り、表現の修正や記載事項の追加を求められるケースが少なくありません。

薬機法には、パッケージに必ず記載しなければならない「法定表示事項」と、コピーやキャッチフレーズで使ってよい範囲が決まっている「効能効果の表現規制」という、性質の異なる2つのルールが混在しています。この2つを整理せずに進めると、デザイン確定後の土壇場で刷り直しや発売延期が発生するリスクが高まります。

本記事では、化粧品パッケージのデザインを進めるうえで押さえておきたい薬機法の法定表示事項と、コピー表現で避けるべき範囲、違反した場合のリスク、そしてデザイン会社を選ぶ際に確認したいポイントまでを整理して解説します。

なぜ化粧品パッケージのデザインには薬機法の壁があるのか

パッケージデザインに関わる法律は、薬機法だけではありません。著作権や商標、景品表示法など、確認すべき法律は複数にまたがっています(詳しくは別記事で解説しています)。そのなかでも化粧品は、薬機法によって「容器・外箱に何を書かなければならないか」と「広告・表示でどこまで言ってよいか」の両面から規制を受ける、規制対象商品のひとつです。

薬機法第66条第1項では、何人も、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならないと定められています。パッケージの表面もこの「広告」に含まれるとされているため、ロゴや商品名のデザインを工夫する段階から、コピーの一言一句までがこの規制の射程に入ってくることになります。デザインとコピーが同時並行で決まっていく制作フローの中で、法務側の確認が後回しになりやすいことが、化粧品パッケージ特有の難しさといえます。

なお、広告表現全般を規制する景品表示法とは異なり、薬機法は化粧品・医薬部外品・医薬品といった対象品目ごとに、表示すべき事項と表現できる範囲を個別に定めている点が特徴です。同じ「誇大な表現をしてはいけない」というルールでも根拠となる法律が異なれば確認先も変わってくるため、パッケージ制作の初期段階でどの法律のどの部分が関係するのかを切り分けておくと、後の確認作業がスムーズになります。

パッケージデザインの際に注意すべき法律を見る

パッケージ本体に必ず記載すべき法定表示事項

化粧品の直接の容器または直接の被包には、化粧品の表示に関する公正競争規約第4条に基づき、次の事項を邦文で、外部から見やすい場所に明瞭に表示することが求められています。

  • 種類別名称
  • 販売名
  • 製造販売業者の氏名又は名称及び住所
  • 内容量
  • 製造番号又は製造記号
  • 使用の期限(厚生労働大臣が定める化粧品の場合)
  • 厚生労働大臣の指定する成分(アレルギー等の原因となるおそれのある表示指定成分)
  • 原産国名(又は原産地名)
  • 使用上又は保管上の注意(施行規則で定める化粧品の場合)
  • 問合せ先

加えて、化粧品は原則として全成分表示が義務づけられており、配合されている成分は分量の多い順に記載する必要があります。ただし、配合量が1%以下の成分は互いの順序を問わず記載してよく、着色剤についても同様に着色剤同士の間では順序を問わないとされています。なお、配合量が1%を超える成分はこの「順不同」の対象には含まれず、引き続き分量の多い順に記載する必要があります。この記載順序のルールを知らずにデザインを進めると、成分リストのレイアウト段階で並べ替えが発生し、他の表示要素とのスペース配分をやり直すことになりかねません。パッケージの余白設計や文字サイズの検討は、これらの必須表示事項の分量を前提に組み立てておくことが望まれます。

デザイン・コピーで言える表現/言えない表現

化粧品が標榜できる効能効果は、厚生労働省の通知によって56項目の範囲があらかじめ定められています。「肌にはりを与える」「肌荒れを防ぐ」「日やけによるシミ、そばかすを防ぐ」「乾燥による小ジワを目立たなくする」といった表現はこの範囲に含まれ、承認等の手続きを経ずに標榜することができるとされています。パッケージやコピーで効能効果に触れる場合は、まずこの56項目の範囲内に収まっているかどうかを確認することが出発点になります。

一方で、この範囲を超える表現は、化粧品としては標榜できないとされています。たとえば、シワそのものを消す・治すといった医薬品的な効果を断定する表現や、肌そのものを若返らせるという趣旨の表現、特定の疾患の治癒を示唆する表現などは、56項目の範囲を超えるため注意が必要です。また「無添加」「オーガニック」といった表現も、何を添加していないのかが不明確なまま使うと、優良誤認を招く表現として問題になり得ます。医薬部外品として薬用効果を標榜したい場合は、化粧品とは別の承認手続きが必要になるため、自社の商品がどちらの区分に該当するのかをあらかじめ整理しておくことも欠かせません。

パッケージデザインの段階では、キャッチコピーや帯のあおり文句が先に決まり、後から効能効果の範囲外であることが判明するケースが多く見られます。コピーライティングとデザインを同時に進める場合は、初期のラフ案の段階から56項目の範囲を照らし合わせておくことが、手戻りを防ぐポイントです。

違反した場合のリスク(罰則・課徴金・回収)

薬機法第66条第1項に違反する誇大広告等を行った場合、同法第85条により2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金が科され、またはこれらが併科される可能性があるとされています(2025年6月1日施行の刑法改正により、従来の「懲役」は「拘禁刑」という呼称に統一されています)。

加えて、2021年8月に施行された課徴金制度により、対象期間中の対象商品の売上額に4.5%を乗じた金額の納付を命じられる可能性もあります。なお、この課徴金は算出額が225万円未満となる場合には原則として課されないとされていますが、発売直後で売上規模が読みにくい新商品の場合、パッケージのコピー表現ひとつが将来的な負担につながりうる点は意識しておく必要があります。

刑事罰・課徴金以外にも、行政指導や自主回収、店頭からの撤去、取引先である小売・卸からの信頼低下といった実務上の影響も無視できません。パッケージは一度印刷・製造してしまうと差し替えに追加コストと時間がかかるため、発売直前に指摘を受けるほど、経営への影響は大きくなる傾向があります。薬機法を確認したからといって、あらゆる法的リスクがゼロになるわけではありませんが、法定表示事項と効能表現の範囲をあらかじめ整理しておくことは、こうした手戻りのリスクを抑えるうえで重要な工程です。

リニューアル時に見落としやすい表示の再チェックポイント

新商品の立ち上げ時は法務・品質保証部門の確認フローが機能していても、既存商品のリニューアルでは「これまで問題なかったから」という理由で再チェックが省略されがちです。しかし、次のような見落としが起きやすいことには注意が必要です。

  • デザインリニューアルに合わせてキャッチコピーを一新した際に、旧デザインでは使っていなかった新しい効能表現が紛れ込んでいないか
  • 処方(配合成分)の見直しに伴い、全成分表示の並び順や表示指定成分の記載が更新されているか
  • パッケージサイズや形状の変更により、必須表示事項の文字サイズ・視認性が変わっていないか
  • OEM先や製造販売業者の変更があった場合に、製造販売業者名・住所の表示が最新の情報に更新されているか

リニューアルは「デザインを新しくする」ことに意識が向きやすい分、法定表示事項という地味だが必須の要素が後回しになりやすい工程です。旧パッケージのデータをそのまま流用せず、リニューアルのタイミングで一度、法定表示事項と効能表現の両方をゼロベースで確認し直すことが望まれます。

また、色校正や印刷用データ(DTPデータ)を作成する段階でレイアウトが微調整された結果、必須表示事項の文字が図版やイラストと重なってしまう、あるいは規約上求められる視認性を確保できなくなるといった事態も起こり得ます。デザインの最終決定と法定表示事項の確認を別々の担当者・別々のタイミングで行っている場合は、校了直前ではなく、レイアウトが固まった早い段階で両者を突き合わせる工程を設けておくと、手戻りを防ぎやすくなります。

薬機法対応の体制があるデザイン会社の見極め方

化粧品パッケージのデザインを外部のデザイン会社に発注する場合、デザインの表現力だけでなく、薬機法をはじめとした法的リスクへの対応体制も選定基準に加えておきたいところです。具体的には、次のような点を確認するとよいでしょう。

  • 薬機法に基づくコピー・デザイン表現のチェックを、社内フローとして持っているか(薬事監修者や専門家との連携体制があるか)
  • 化粧品・医薬部外品のパッケージデザインの実績があり、法定表示事項のレイアウト設計に慣れているか
  • ロゴやシンボルマークについて、他社との類似性まで含めて確認する体制があるか
  • パッケージに使用するイラストや写真、コピーの著作権処理について説明できるか
  • ブランドロゴやパッケージデザインそのものの商標登録についても相談に乗れるか

パッケージデザインで注意すべきロゴの類似チェックを見る

パッケージデザインにおいて注意すべき著作権を見る

パッケージデザインと商標登録の関係を見る

薬機法・著作権・商標のそれぞれは管轄する法律も確認すべき窓口も異なりますが、パッケージ制作を依頼する側からすれば、どこか一つの窓口でまとめて相談できる体制のほうが手戻りは少なくなります。デザイン会社を比較検討する際は、過去に化粧品パッケージを手がけた実績の有無や、法的なチェック体制について具体的に説明を受けられるかどうかを確認しておくとよいでしょう。

まとめ

化粧品パッケージのデザインは、意匠面の検討と並行して、薬機法上の法定表示事項と効能効果の表現規制という、性質の異なる2つのルールを満たす必要があります。法定表示事項は公正競争規約第4条に定められた10項目と全成分表示、効能効果の表現は厚生労働省が定める56項目の範囲が基準です。違反時には拘禁刑・罰金や課徴金、回収といったリスクが生じうるため、デザイン確定後の指摘による手戻りを避けるには、企画段階から法定表示とコピー表現の両方をあわせて確認しておくことが大切です。

自社だけで判断が難しい場合は、化粧品パッケージの実績があり、薬機法をはじめとした法的チェック体制を備えたデザイン会社に相談することも選択肢のひとつです。パッケージデザイン会社の選び方をより詳しく比較したい方は、以下のカタログもあわせてご覧ください。

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